──都議選の惨敗はそのような空気を有権者が感じ取った結果ではないか。次の国政選挙で自民党は議席を大幅に減らす可能性もある。
船田:確かに小池新党が国政に打って出れば自民党は苦しい立場になるはずです。
有権者からの信頼を取り戻すために、自民党は風通しを良くし、活発な議論を行う場を設けなくてはなりません。それがただのガス抜きで終わるのではなく、官邸が多様な意見を汲み取る仕組みを作るべきです。
重要なのは、その議論の過程を国民に示していくこと。いま憲法改正の議論を党内で行っていますが、有権者の方々から、議論の過程が見えないという声を頂きます。憲法改正には、国民投票という非常にハードルの高い手続きがあるので、情報の開示がなおさら大切になってきます。テロ等準備罪のような強引な採決をしていれば、反発は強まるばかりです。党内でどのような議論をして結論に達したのか。一部始終を知っていただくシステムを作る必要があります。
──国民政党と言われた時代の自民党のように、多様な意見を集約するには何を変えなければならないか。
船田:私は、党内に本当の意味での政策集団としての派閥を復活できれば、と考えています。かつては立場や考え方が違う派閥同士で意見を戦わせていました。自民党のなかで「擬似政権交代」が起こるほど政策を競って、本気で意見をぶつけ合う必要があるのです。
●聞き手・構成/山川徹
【PROFILE】ふなだ・はじめ/1953年栃木県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1979年、25歳で衆議院議員に初当選(現在11期)。昨年、夏の甲子園で優勝した作新学院の学院長も務める。
※SAPIO2017年9月号