ビジネス

鉄道会社のシェアリングエコノミー 民泊や節電、定期券も

京王電鉄は民泊事業に参入した

 シェアリングエコノミーというと、AirbnbやUberなど、インターネットを活用した米国発のサービスを思い浮かべる人が多いだろう。一方の日本には、見知らぬ者どうしが乗り合うサービスのひとつ「鉄道」が米国よりも全国的に発達している。フリーライターの小川裕夫氏が、鉄道会社による民泊、節電、定期券のシェアといった新事業進出について報告する。

 * * *
 経済の新潮流として注目を浴びる”シェアリングエコノミー”が、爆発的に拡大している。現在の日本では厳しい規制もあってシェアリングエコノミーは海外ほど盛んになっていないが、それでも市場規模は1兆円を突破。今後も順調に拡大することが見込まれている。

 1872(明治5)年、日本最初の鉄道が新橋駅-横浜駅間で開業した。不特定多数の人がひとつの乗り物に一緒に乗るという「乗合」という概念は、このときに誕生した。

 乗合は、いわゆる空間のシェアだ。つまり、鉄道こそがシェアリングエコノミーの元祖でもある。

 そんな鉄道業界では、シェアリングエコノミー第2波と目される新シェアリングビジネスに取り組む動きも始まっている。

 シェアリングエコノミーと言って真っ先に思い浮かぶのは、政府や地方自治体が特例的に解禁した民泊だろう。民泊が解禁された背景には、ネットの普及で旅行者が一般民家やマンションなどを容易にレンタルできるようになったことが挙げられる。

 これまで宿泊業は防災・防犯といった観点から厳しい規制がされてきた。それが、訪日外国人観光客が急増したことで宿泊施設に不足が生じ、民泊解禁を後押しすることになった。民泊というと、個人が経営しているようなイメージを抱くが、法人が参入するケースもある。

 東京南西部から神奈川県北東部を地盤にする京王電鉄(京王)は、大田区の民泊特区に手を挙げた事業者のひとつだ。京王はグループ傘下に京王プラザホテルや京王プレッソインといった宿泊業を抱えている。わざわざ、民泊に参入せずとも、通常のホテルとして進出することもできたはずだが、民泊参入にはどんな意図があったのだろうか?

「弊社では、『不動産の活性化と旺盛な宿泊ニーズ』を繋ぐ新たな成長マーケットとして民泊に着目してきました。グループの持つ不動産事業との親和性も高く、新規事業として民泊運営自体をビジネスにするとともに、民泊を活用して第三者オーナー物件の稼働率を向上できれば管理物件増にもつながり、グループ事業機会の拡大に結び付けられると考えています」(京王広報部)

 また、京王は民泊の参入を単なる観光事業への進出とは捉えていない。将来的な沿線開発とも絡めた戦略に見据えている。

「将来的に京王沿線では人口減少による空き家増加が課題になると認識しています。本事業での知見を活かしながら、民泊事業を京王沿線の空き家対策やまちづくりにも活用し、沿線のさらなる活性化を図っていけるものと考えています」(同)

 京王が自社沿線ではない大田区の民泊に参入する理由も、ここにある。早期に民泊事業に参入することで、他社に先駆けて民泊の運営ノウハウを開拓・蓄積することが狙いだ。

 民泊といったスタンダードなシェアリングビジネスに参入する京王のような鉄道会社がある一方、これまでにないシェアリングビジネスを模索する東急電鉄(東急)のような鉄道会社もある。

トピックス

趣里(左)の結婚発表に沈黙を貫く水谷豊(右=Getty Images)
趣里の結婚発表に沈黙を貫く水谷豊、父と娘の“絶妙な距離感” 周囲が気を揉む水谷監督映画での「初共演」への影響
週刊ポスト
日本復帰2戦目で初勝利を挙げたDeNAの藤浪晋太郎(時事通信フォト)
横浜DeNA・藤浪晋太郎を大事な局面で起用する三浦大輔監督のしたたかな戦略 相手ファンからブーイングを受ける“ヒール”がCSの行方を左右する
週刊ポスト
宮路拓馬・外務副大臣に“高額支出”の謎(時事通信フォト)
【スクープ】“石破首相の側近”宮路拓馬・外務副大臣が3年間で「地球24週分のガソリン代」を政治資金から支出 事務所は「政治活動にかかる経費」と主張
週刊ポスト
15人の大家族「うるしやま家」(公式HPより)
《ビッグダディと何が違う?》フジが深夜23時に“大家族モノ”を異例の6週連続放送 今、15人大家族「うるしやま家」が人気の背景 
NEWSポストセブン
自身のYouTubeで新居のルームツアー動画を公開した板野友美(YouTubeより)
《超高級バッグ90個ズラリ!》板野友美「家賃110万円マンション」「エルメス、シャネル」超絶な財力の源泉となった“経営するブランドのパワー” 専門家は「20~30代の支持」と指摘
NEWSポストセブン
高校ゴルフ界の名門・沖学園(福岡県博多区)の男子寮で起きた寮長による寮生らへの暴力行為が明らかになった(左上・HPより)
《お前ら今日中に殺すからな》ゴルフの名門・沖学園「解雇寮長の暴力事案」被害生徒の保護者らが告発、写真に残された“蹴り、殴打、首絞め”の傷跡と「仕置き部屋」の存在
NEWSポストセブン
濱田よしえ被告の凶行が明らかに(右は本人が2008年ごろ開設したHPより、現在削除済み、画像は一部編集部で加工しております)
「未成年の愛人を正常に戻すため、神のシステムを破壊する」占い師・濱田淑恵被告(63)が信者3人とともに入水自殺を決行した経緯【共謀した女性信者の公判で判明】
NEWSポストセブン
指定暴力団山口組総本部(時事通信フォト)
《外道の行い》六代目山口組が「特殊詐欺や闇バイト関与禁止」の厳守事項を通知した裏事情 ルールよりシノギを優先する現実“若いヤクザは仁義より金、任侠道は通じない”
NEWSポストセブン
志村けんさんが語っていた旅館への想い
《5年間空き家だった志村けんさんの豪邸が更地に》大手不動産会社に売却された土地の今後…実兄は「遺品は愛用していた帽子を持って帰っただけ」
NEWSポストセブン
自殺教唆の疑いで逮捕された濱田淑恵被告(62)
《信者の前で性交を見せつけ…》“自称・創造主”占い師の濱田淑恵被告(63)が男性信者2人に入水自殺を教唆、共謀した信者の裁判で明かされた「異様すぎる事件の経緯」
NEWSポストセブン
米インフルエンサー兼ラッパーのリル・テイ(Xより)
金髪ベビーフェイスの米インフルエンサー(18)が“一糸まとわぬ姿”公開で3時間で約1億5000万円の収益〈9時から5時まで働く女性は敗北者〉〈リルは金持ち、お前は泣き虫〉
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 岸田文雄が「闇将軍」になる亡国自民党ほか
「週刊ポスト」本日発売! 岸田文雄が「闇将軍」になる亡国自民党ほか
NEWSポストセブン