これはいいアイディアだ。談春はこの手のトークが抜群に上手く、映画の宣伝にはうってつけだし(僕もこれがあったから『忍びの国』を観る気になった)、一方で落語初体験の嵐ファンに純愛ドラマ『紺屋高尾』を聴かせることで、談春落語のファン層を広げることができる。
「大ネタをドーンとネタ出しして全国の大きな会場を廻る」というスタイルを確立した談春だが、久々に往年の談春を思い出させたのが5月22~24日に東京・浅草公会堂で行なわれた「廓噺の会」。
きっと3日間とも同一演目なのだろうと思いつつ、ネタ出しもないので念のため3日ともチケットを取ったら、22日が『錦の袈裟』『二階ぞめき』、23日が『五人廻し』『文違い』、24日が『付き馬』『木乃伊とり』と毎日変えてきて、しかも談春ではここ何年も聴けなかった演目ばかり。これは嬉しかった。いずれまた「談春七夜」みたいなこともやってほしいなあ、と思った次第。
ところで『忍びの国』だが、談春の百地三太夫はまさにハマリ役。絶妙なキャスティングだった。
※週刊ポスト2017年9月8日号