こうしたレーザー治療のデメリットを補う治療法として欧米で導入が進んでいるのが、医療用接着剤(グルー)を使い血管を閉塞する「スーパーグルー治療(日本での名称未定)法」だ。医療用接着剤は、日本では1963年に出血部の血管吻合(止血剤)として保険承認されている。イギリスでは、2011年に血管内使用にあたり、安全性と有効性が確認され、2015年にガイドラインに収載された。
治療は足の付け根に近い部分の静脈に針を刺し、超音波画像を確認しながら、カテーテルを挿入して接着剤を放出し、上から圧をかけて血管を閉塞する。麻酔は針を刺す部分のみであり、熱を一切かけないので、血栓のリスクを回避できる。
「私はアメリカで研修を受け、昨年6月から治療を開始。現在、約100症例に実施しています。この治療は、グルーの性質を熟知することが最大のポイントです。接着剤はマイナスイオンに触れると、重合といって一気に固まってしまいます。
必要ないところで固まってはまずいので、私は放射状に接着剤が出るようにデバイスを改良しました。また固まる速度をコントロールするため、ある物質を混入するなど改良を重ね、治療効果を上げています」(榊原医師)
治療時間は血管の長さ40cmに対して20秒と、かなり短い。色素沈着や痛みもなく、絆創膏を貼って治療は終了だ。術後に弾性ストッキングを着用する必要がなく、費用は自費で数十万円程度かかる。
●取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2017年9月8日号