いま、環境破壊や、グローバルマネーによる格差拡大、新自由主義による優勝劣敗など、文明が袋小路に入っている。そうした時代に、西郷の一本筋が通っている文明観を、日本人が再発見することには大きな意味がある。
ドイツの哲学者、オズワルド・シュペングラーが、第一次世界大戦が終わった1918年に著書『西洋の没落』で予言したのはヨーロッパ文明の終焉であった。文明には四季のように周期があり、やがて秋から冬へと突入するとした。文明の限界が顕在化し、まさに冬が到来しつつあるいま、社会の進化とは何か、文明とは何かを根本的に考えなくてはならない。
※SAPIO2017年10月号