つまり、核武装を拒否しても核武装の年間コスト1.5兆円と大して変わらないことになる。しかも改良型SM3やPAC3、イージス・アショアでも、飛来するミサイルを100%撃ち落とす能力は担保されていないという。

 使わないことが前提の核保有と、迎撃能力に欠陥を抱える非核保有──そのどちらを選ぶにしても巨額の出費は避けられない。それでも東京国際大教授の伊豆見元氏はこう語る。

「実際に持つかどうかは別として、日本が核武装の議論を始めることは悪くない。それ自体が抑止力になり得るからです。“いずれ日本は核を持つかもしれない”と金正恩に疑心を抱かせることで行動を牽制できる可能性はある。北の脅威から国民が身を守る最適な選択は何か。国民的議論が行なわれる時期に来ています」

 もちろん、日本が唯一の被爆国として、核廃絶を求めてきた歴史を忘れてはならない。単なるコスト判断だけでなく、総合的な見地からの議論が求められている。

※週刊ポスト2017年9月22日号

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