そぼ降る雨の中、9月12日に新国立競技場の建設現場が報道陣に公開された。1000トン級のタワークレーン2基を含む24基の大型クレーンが林立する風景を目の当たりにすると、大型建設プロジェクトの進行を肌で感じることができる。
写真左のボックス状の構造物はスタンドの2階部分。右中央の2基のタワークレーンの操作キャビン部(白い部分)が、競技場の屋根最高部とほぼ同じ高さにあたる約52メートルだ(9月7日撮影)。
前回公開された3月に続き、今回も建設現場に入った建築アナリスト・森山高至氏が解説する。
「前回はまだ土も見える茫漠たる“穴”でしたから、スタンドを組み上げ始めている今回の現場を見ると別物の感があります。24基もクレーンが入っていますが、意外なほど静かです。ここで毎日1000人もの人たちが働いているそうです。
敷地が広いためそんなに大勢の人がいるのかと驚くと同時に、決して無理のない工事であることが伝わってきます。工事着工から10か月、計画は順調で全体の11%まで進みました。まだ残り89%と思うかもしれませんが、ここからは数字以上に目に見えて建設の進行を実感できるはずです」
●撮影/小倉雄一郎
※週刊ポスト2017年9月29日号