梅田コマならテレビとのかけ持ちが可能だ。ところが菊田に気に入られた中山千夏は東京の芸術座に出演することになった。花登筐の自伝『私の裏切り裏切られ史』に基づく記述だが、澤田氏は花登の「記憶違い」や「勘違い」を正しく指摘する。だが花登が東宝から「裏切られ」たことは本当だ。そして花登は昭和三十四年九月、大村崑、芦屋雁之助・小雁らと共に劇団『笑いの王国』を立ち上げる。
この本を通読して感じたのは大村崑の存在の大きさだが、その人がいまだ大相撲中継を見てるとチラ映りすることに驚く。
※週刊ポスト2017年9月29日号