ライフ

雪舟“幻の真筆”発見 専門家が真筆と確信したポイント

50人を超す報道陣も新発見に沸いた

 国宝指定の作品が6点と最多を誇り、日本の美術史上一番のビッグネームである雪舟(1420~1506?)。その雪舟が描き、長らく行方不明だった“幻の真筆”が発見された。美術史家・美術評論家で明治学院大学教授の山下裕二氏が語る。

「今回新たに見つかったのは、団扇形の『倣夏珪山水図(ほうかけいさんすいず)』。中国・南宋時代の画家、夏珪に倣って描かれた山水図です。雪舟による団扇形の倣古図は、江戸時代の狩野派の画家・狩野常信の模本『流書手鑑』によって、少なくとも12点あることが知られ、これまでに6点確認されています。

 7点目となる今回の作品は昭和8年に売り立てに出て以来、行方がわからなくなっていた貴重な1点。存在そのものも研究家などごく一部の人にしか知られておらず、非常に価値のある大発見です」

 大学時代から約40年間、雪舟の研究を続けてきた山下教授は、ひと目で雪舟の真筆と確信した。

「決め手になったのは、『流書手鑑』です。狩野常信は雪舟の落款の書体に至るまで忠実に模写していて、これまで確認されている雪舟の原本6点とも酷似している。今回の『倣夏珪山水図』にも、常信の模本と同様の距離感が認められました。団扇の枠の上部を見ると、新発見の『倣夏珪山水図』は波打つようなよろよろした線ですが、常信の模本では几帳面な線です。これがかえって疲れてしまったリアルな息遣いを感じさせ、雪舟の真筆であることを物語っているのです」

 真筆であることについては、学習院大学・島尾新教授、京都国立博物館・山本英男学芸部長も同意見で、「衆目が一致して真筆と認める作品が出現するのは初めて」と山下教授はその意義を強調する。作品を寄託された山口県立美術館の荏開津通彦学芸員も次のように語る。

関連キーワード

関連記事

トピックス

遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
東京・新宿のネオン街
《「歌舞伎町弁護士」が見た性風俗店「本番トラブル」の実態》デリヘル嬢はマネジャーに電話をかけ、「むりやり本番をさせられた」と喚めき散らした
NEWSポストセブン
横浜地裁(時事通信フォト)
《アイスピックで目ぐりぐりやったあと…》多摩川スーツケース殺人初公判 被告の女が母親に送っていた“被害者への憎しみLINE” 裁判で説明された「殺人一家」の動機とは
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
記者が発行した卒業証明書と田久保市長(右/時事通信)
《偽造or本物で議論噴出》“黄ばんだ紙”に3つの朱肉…田久保真紀・伊東市長 が見せていた“卒業証書らしき書類”のナゾ
NEWSポストセブン
JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「箱根で見られた“急激に隆起”の兆候」「根室半島から釧路を含む広範囲で大きく沈降」…5つの警戒ゾーン
週刊ポスト
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト
東川千愛礼(ちあら・19)さんの知人らからあがる悲しみの声。安藤陸人容疑者(20)の動機はまだわからないままだ
「『20歳になったらまた会おうね』って約束したのに…」“活発で愛される女性”だった東川千愛礼さんの“変わらぬ人物像”と安藤陸人容疑者の「異変」《豊田市19歳女性殺害》
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着で迷惑行為か》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン