糖尿病といえば、食べすぎと運動不足でメタボな中高年がなりやすく、失明など深刻な合併症がある恐ろしい病気のイメージがある。実際、糖尿病や予備軍と診断された私と同年代の友人たちは、厳しい食事制限や運動を強いられている。
しかし、母の食事は3食で1400kcal前後、栄養バランスを考えた申し分ない献立だ。お菓子もほとんど食べない。そして日課の散歩、週3回のリハビリ系デイケアで運動もめいっぱいやっている。これ以上どうすればよいのだ…。再び私は、途方にくれた。
「先生、どうして母は糖尿病に? こっそりお菓子を食べたりしてるんでしょうか?」
焦って聞く私。すると横から母が「そーんなこと、するわけないでしょ」と、おそらく状況もわからないまま、ツッコミを入れてきた。血糖値が上がっても本人にはほとんど不快感はないそうだ。
「高齢者は体の老化によって、どんなに健康的な生活をしていても、血糖値や血圧が上がることがあるの。まずは日常生活でできることから始めましょう」
まず3食のうち夕食の白米を3分の2に減らす指示が出た。食堂の白米は1膳150g。これを100gに減らした。見た目はそれほど減量感はない。ところが1か月後、血糖値はまた上昇。先生は少し考え、
「では3食とも減らしてみましょう。ただ、おかずはしっかり食べてくださいね」
「先生、私はね、人さまが作ってくださった食事は絶対に残さないんですよ。毎日、全部おいしくいただいています」と、母が胸を張った。
そして最初の減量から3か月後、母の血糖値がストンと落ちた。正常値と比較すればまだまだ高めだが、薬物治療などの必要性は遠のいた。
「ヤッター、合格ですね?」
と意気込む私に、女神様は、「数字ばかり気にしてご本人にプレッシャーを与えちゃだめですよ。運動もできるだけ続けてくださいね」と言った。
※女性セブン2017年10月12日号