発達障がいの少年が焙煎する珈琲がいま、飛ぶように売れている。彼の名は、岩野響(ひびき)くん。15才の珈琲焙煎士だ。小学3年でアスペルガー症候群と診断され、中学で不登校になった。そしてこの春、高校進学はせず、自らの珈琲豆販売店を開店。「500円でも自分の力で稼げるように」──そんな両親の思いを大きく上回り、わずか2か月後には、焙煎が追いつかない爆発的人気を呼んだ。
初めて響くんのアスペルガー障がいを記事にした、地元・上毛新聞の記者、丸岡美貴さんは言う。
「取材の申し出をした際、開人さんから“実は響はアスペルガー。それを明かすかどうかは、家族でも意見が分かれているので調整したい”と言われたんです」
障がい者ヘルパーの経験がある丸岡さんも家族会議に同席した。話し合いは夜10時まで続いた。
「その時響くんは“1対1で向かい合った人に自分がアスペルガーだっていうのはいい。だけどみんなが見るようなマスコミに出して、これ以上生きづらくなったり、誤解されたり、差別されたりするのは嫌なんさ”ってずっと言いながらボロボロ泣いていましたね」
最後は響くん自身が明かすことを決めた。そうして掲載された記事が話題を呼び、取材が殺到する。
「響くんの生き方が障がい者やそのご家族の励みにつながればと思ったので、話題になることは正直嬉しいですね。でも同時に、響くんのような見えない障がいをきちんと伝えられたかどうか、今でも難しい問題だと思います」
※女性セブン2017年10月19日号