秋に旬を迎える「ぎんなん」。食用となるぎんなんは、イチョウの木になる実の中のさらに殻に包まれた種実の部分を指す。イチョウは“生きた化石”といわれるほど大昔からある樹木で雄の木と雌の木があり、実がなるのは雌の木だけ。実自体は黄色いさくらんぼのような形をしており、非常ににおいが強く果肉は食用にならない。“ぎんなん拾い”は晩秋の風物詩だが、種実を取り出すまでの手間と悪臭との闘いは素人には不向き。洗って乾燥させた種実を店頭で購入する方がよい。
ぎんなんは栄養価が高く、でんぷん、カロテン、ビタミンCを含む。またカリウムをはじめマグネシウムやリン、鉄分など、骨を作るのに欠かせないミネラルも豊富だ。中国や日本では昔から、咳や痰を切り、夜尿症にも効果のある“薬”として、民間療法でも活躍している。
ただし、食べすぎには要注意。ぎんなんにはメチルピリドキシンという中毒物質が含まれており、食べすぎるとけいれんなど中毒症状が出ることも。特に解毒能力の低い幼児による摂取には注意すること。
家庭料理研究家の松田美智子さんは、ぎんなんについてこう話す。
「ぎんなん、大好きです! レンジでチンしたり素揚げにして、お塩でシンプルに味わうのがいちばんおいしい。硬い殻が扱いにくくはありますが、叩きどころさえ押さえれば、比較的簡単に割れます。時間が経って乾燥が進んでいるものは水で濡らしてから叩くと扱いやすいです」
【ぎんなんの準備】
ぎんなんは「銀杏」の字のごとく、殻の表面が白くてなめらか、艶のあるものを選ぶ。粒が大きく、しっかりと実が詰まっているものがおいしい。
殻の処理は、まな板の上にキッチンペーパーを敷いてぎんなんの殻の合わせ目を上にして指で押さえ、金槌や肉叩きで軽く叩いてひびを入れる。そのまま茶封筒に入れるか、ワックスペーパーで包み、600Wのレンジで約1分加熱して下ごしらえ終了。そのまま塩をつけて食べてもよいし、殻をむいて茶碗蒸しや素揚げなどに。
『ぎんなんのおつまみ』の作り方
【1】ぎんなん10粒は、【準備】を参照して殻を処理し、レンジで加熱する。殻が少し広がり、中のぎんなんが緑になればよい。
【2】殻を外し、自然塩をつけながらいただく。
撮影/鍋島徳恭
※女性セブン2017年10月26日号