「公明党が単独で過半数の議席を獲得する状況は考えられないが、将来、連立政権で公明党の総理大臣が実現する可能性はゼロとは言い切れない。10~20%はあると見ていいのではないか。“宗教政党”という印象はいまだに根強いが、公明党は自民党との連立で長年与党として実績を積み、国民もそれを知っている。もはや、かつてほどのアレルギーはない」
◆今回の選挙後の可能性
公明党が最初に政権入りしたのは1993年の細川連立内閣だった。当時、下野に追い込まれた自民党は「宗教政党が政権を取った」と猛批判を展開したが、その自民党が公明党と連立を組んでから足かけ18年になる。公明党は民主党政権の3年間を除いた15年間は政権与党として大臣を送り出してきた。
混乱が政界に起きれば、公明党首班という政治状況が生まれる可能性がないとは言い切れない。
自民党内でポスト安倍を巡って意見が一致せず、しかも総選挙不出馬で首相候補になれない小池氏が、本気で、「山口さんがいい」と言えば、公明党を中心に自民、希望の連立政権が誕生する可能性がある。山口代表は参院議員だが、憲法では、参院議員の首相就任を禁じる規定はない。
「自衛隊は憲法違反。政権をとったら廃止する」という立場をとっていた社会党の村山内閣が誕生したとき、国民は“まさか”と驚愕したが、それに比べると、公明党は自衛隊合憲論で、集団的自衛権の行使を可能とする安倍政権の安保法制にも賛成した。安保政策では自民党内の“リベラル派”よりも右に位置している。
その一方で山口氏は「自民党右派に見られがちな言葉の乱暴さや、異論への攻撃的な姿勢とは真逆のソフトイメージ」(与党幹部)の持ち主だけに、「自公希」の絶好の緩衝材として、白羽の矢が立つ展開もあり得るのだ。
※週刊ポスト2017年10月27日号