芸能

俳優・加藤剛 身体を全部使って、その役に住んでもらう

加藤が演じた「大岡越前」は30年続いた

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、俳優・加藤剛が、1970年から1999年まで続いた『大岡越前』(TBS系)や、NHK大河ドラマで平将門を演じた思い出を語った言葉を紹介する。

 * * *
 加藤剛は1964年から時代劇シリーズ『三匹の侍』(フジテレビ)に丹波哲郎と入れ替わりで主演している。

「その頃の時代劇の殺陣は木で作った刀を使うのですが、僕たちはジュラルミンのを使いました。その方が実際に斬る時の重みが出るんですよね。

 殺陣はそれまでやったことがありませんでした。殺陣師の方に払い方や手の使い方などの基本を教えていただき、あとは自宅で木刀を使って稽古しました。ほとんど毎日、体操するように素振りをしていましたね。その後で『剣』というテレビ時代劇に出た時は剣道を習いに警察の道場に通っています。その時は大変でしたが、やらないと上手にはなりませんから」

 1970年に始まる『大岡越前』(TBS系)では主人公の大岡忠相を演じ、1999年まで続くロングシリーズとなった。

「あんなに長く続くとは思いませんでしたね。自分の中にそんなに長く住んでくれる役になるとは。1年か2年で終わると思っていたら、30年ですから。視聴率も30パーセントを取っていて、20台になったら『困ったな』と言われるくらいの人気になりました。それだけ視聴者の方が支持して、支えてくださったということです。

 私としましても、観てくださった方が『明日も元気に生きよう』と思える清涼剤になればいいと思って毎日やっていました。

 忠相は正義感の強い方で、権力者の立場にありながら庶民のことを思いながら生きた方だと思います。ただ、実際のその人物を見せようということではなく、あくまで書かれた作品のテーマをわかりやすく表現することに徹しながらやっていました。

 時代劇をやる時は、もちろん時代劇の役者としてやらなきゃいけないこと、その時代に生きた人間として表現しなきゃいけないということはあります。でも、特別こうしようと思うことはそんなにありませんでした。毎回、少しでもいい作品にして、わかりやすく、面白くするということを一生懸命にやってきた。それしかありませんでした」

関連記事

トピックス

筒香が独占インタビューに応じ、日本復帰1年目を語った(撮影/藤岡雅樹)
「シーズン中は成績低迷で眠れず、食欲も減った」DeNA筒香嘉智が明かす“26年ぶり日本一”の舞台裏 「嫌われ者になることを恐れない強い組織になった」
NEWSポストセブン
筑波大学・生命環境学群の生物学類に推薦入試で合格したことがわかった悠仁さま(時事通信フォト)
《筑波大キャンパスに早くも異変》悠仁さま推薦合格、学生宿舎の「大規模なリニューアル計画」が進行中
NEWSポストセブン
『世界の果てまでイッテQ!』に「ヴィンテージ武井」として出演していた芸人の武井俊祐さん
《消えた『イッテQ』芸人が告白》「数年間は番組を見られなかった」手越復帰に涙した理由、引退覚悟のオーディションで掴んだ“準レギュラー”
NEWSポストセブン
12月9日に亡くなった小倉智昭さん
【仕事こそ人生でも最後は妻と…】小倉智昭さん、40年以上連れ添った夫婦の“心地よい距離感” 約1年前から別居も“夫婦のしあわせな日々”が再スタートしていた
女性セブン
10月1日、ススキノ事件の第4回公判が行われた
「激しいプレイを想像するかもしれませんが…」田村瑠奈被告(30)の母親が語る“父娘でのSMプレイ”の全貌【ススキノ首切断事件】
NEWSポストセブン
NBAレイカーズの試合観戦に訪れた大谷翔平と真美子さん(AFP=時事)
《真美子夫人との誕生日デートが話題》大谷翔平が夫婦まるごと高い好感度を維持できるワケ「腕時計は8万円SEIKO」「誕生日プレゼントは実用性重視」  
NEWSポストセブン
元夫の親友と授かり再婚をした古閑美保(時事通信フォト)
女子ゴルフ・古閑美保が“元夫の親友”と授かり再婚 過去の路上ハグで“略奪愛”疑惑浮上するもきっぱり否定、けじめをつけた上で交際に発展
女性セブン
六代目山口組の司忍組長。今年刊行された「山口組新報」では82歳の誕生日を祝う記事が掲載されていた
《山口組の「事始め式」》定番のカラオケで歌う曲は…平成最大の“ラブソング”を熱唱、昭和歌謡ばかりじゃないヤクザの「気になるセットリスト」
NEWSポストセブン
激痩せが心配されている高橋真麻(ブログより)
《元フジアナ・高橋真麻》「骨と皮だけ…」相次ぐ“激やせ報道”に所属事務所社長が回答「スーパー元気です」
NEWSポストセブン
12月6日に急逝した中山美穂さん
《追悼》中山美穂さん、芸能界きっての酒豪だった 妹・中山忍と通っていた焼肉店店主は「健康に気を使われていて、野菜もまんべんなく召し上がっていた」
女性セブン
トンボをはじめとした生物分野への興味関心が強いそうだ(2023年9月、東京・港区。撮影/JMPA)
《倍率3倍を勝ち抜いた》悠仁さま「合格」の背景に“筑波チーム” 推薦書類を作成した校長も筑波大出身、筑附高に大学教員が続々
NEWSポストセブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
【入浴中の不慮の事故、沈黙守るワイルド恋人】中山美穂さん、最後の交際相手は「9歳年下」「大好きな音楽活動でわかりあえる」一緒に立つはずだったビルボード
NEWSポストセブン