◆耳の異変は脳の異変

「会話が楽しくないので口数が減り、結果的に引きこもってうつ状態になる人も多い。会話が聞き取れず、適当なことを言ってごまかすようにもなります。人とのコミュニケーションが減って社会的な孤立が進行すると脳への刺激がますます減り、認知症になりやすくなってしまう」(工藤医師)

 認知症の症状として「幻聴」が発生することもある。耳と脳は互いに密接な関係があることがよくわかる。

 悪循環を断ち切るには、「脳への刺激を復活させる」ことがカギとなる。藤沢御所見病院院長で耳鼻咽喉科医の山中昇医師が指摘する。

「伝音難聴は多くの場合、投薬や手術で聴力が回復します。治療が困難な感音難聴も、補聴器を使って聴力を補えば、脳への刺激が回復して認知症を防ぐ効果が期待できます」

 聴覚の異常は認知症に限らず、重大疾患のサインであることも多い。

「右側から話しかけられたら必ず聞き返すなどの場合は、聴力が低下した耳に『聴神経腫瘍』が生じている可能性があります。また、聞こえの悪さに加えて耳鳴り、目まいが繰り返し起きる、『メニエール病(*注)』の怖れがある」(北西医師)

【*注/発作をともなう目まいや耳鳴り、難聴などを引き起こす内耳の病気】

 こうした疾患による聴力悪化で、認知症の発症、症状の進行が加速することもある。心当たりがあれば、耳鼻科を早めに受診すべきだ。

 加齢とともに耳は悪くなる。だからこそ、“聴力低下のサイン”にいち早く耳を傾けることが大切だ。少しでも異変を感じたら、まずは専門医の検診を。

※週刊ポスト2017年10月27日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さんが今も築地本願寺を訪れる理由とは…?(事務所提供)
《笑福亭笑瓶さんの月命日に今も必ず墓参り》俳優・山口良一(70)が2年半、毎月22日に築地本願寺で眠る亡き親友に手を合わせる理由
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン