「前までは、延命治療はイヤ、程度だったけど、こんな生き方や最後の迎え方があるなら、家がいいなって変わったよ。大好きなお酒もやめずに過ごしたいわ~!(笑)」

 なるほど。いつもスーパー元気で、家事も完璧にこなす祖母を見ていると、そっちの方が似合うと思った。なぜだろう?怖くて心配だった気持ちのレベルは、5から1くらいに減って、人生最後の願いを叶えてあげたいとまで思えた。そうか、祖母の気持ちを知った事で、自分の気持ちより相手の本当の望みを叶えたいという気持ちが強くなったからだ!

 本に登場する人たちも同じなのだと思う。

 しかし、在宅医療はただ望むだけでは実現しない。家族やドクターはもちろん、訪問看護師、ヘルパー、地域の人、など多くの人がチームとなって支えることが必要だということもわかった。今後は、医療がどんどん進んで、病院だけに頼る人も多くなるだろう。でもその一方で、「生き方を尊重した死に方」という考えも重要になるのではないか。

 私は、文雄先生のような考えに進んで協力できるようなドクターになりたい。助かる命は全力で助け、もしもの時は患者さんや家族の本当の希望に寄りそい、生きる事も死ぬ事もどちらも精一杯支えたい。

 * * *

 この感想文を読んだ著者の小笠原文雄さんはこう話す。

「まだ小学6年生だというのに、患者さんの病気を治す従来の医師像、医療のあり方ともう一つ、痛み、苦しみを取って穏やかに最期を過ごしたいと望む患者さんに寄り添う医療があることに気付いてくれたことに感激して、涙が出ました。詠乃ちゃんがおばあちゃんに聞いたことは、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)といって、患者さん本人や家族と医療従事者が前もって希望や治療方針を相談し、決めておくことと同じ。とても大切な作業です。彼女には救命救急・高度医療のことも勉強してもらい、その上で在宅医療をやってくれると一番いいかなと思っています。彼女のような医師が増えると、日本の医療は明るいですよ」

※女性セブン2017年11月2日号

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