知人女性は高価品を貸したのが悪いといわんばかりですが、これも通用しません。運送業者や倉庫業者などが顧客から預かった品物を破損したり、紛失したりした場合、品物が高価品であっても特にその告知がなければ、通常程度の物として賠償すれば足りますが、これは多くの客から沢山の品物を預かる営業の性格上、法律で特に定められているものです。
このゴルフクラブの貸借は個人間の友誼に基づくもので、こうした特別な規定の適用はありません。また、ゴルフクラブは元々安価なものでありませんし、そもそも旦那さんは見栄っ張りであるために高価なあなたのゴルフクラブを使いたがったのです。あなたがわざわざ高価ですよ、という必要はないのであり、過失相殺されるような落ち度はないと思います。
【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。
※週刊ポスト2017年11月10日号