「たとえ事業者の経営が苦しくなってきても、介護や生活支援、食事などのサービスの質を下げたり、職員の数を減らしたりといった、入居者や家族に見えやすいところに“予兆”が表われることはほとんどないでしょう。
それをやってしまうと、新たな入居者を獲得しづらくなり、どんどん経営が苦しくなっていくからです。介護事業者にとっての売り上げは入居者からの家賃・管理費収入と介護報酬しかないので、入居率が下がるのは命取りになる。だから破産の直前になっても、入居者には実態が見えづらい。
ただ、とくに中小事業者の施設ではコストを抑えるために介護スタッフの待遇や労働条件が悪化していくケースはあります。そうなると辞める人も出てくるので、スタッフの入れ替わりが激しくなってきたら注意を払うべきでしょう。
また、職員の数は変わらないのに掃除がいい加減になってきたり、ぼーっとしていて挨拶や笑顔のない職員が増えてきたりしたら、やはり要注意です。スタッフの質が低下していけば、結果的に利用者離れ、入居率低下につながり、経営を圧迫していくことになりますから」
◆立地と利用料のチェックを
であれば、たとえば信頼していたベテランスタッフから「施設を辞める」と伝えられた時に、人目に付かないところでその理由を質問してみるなどして施設の経営状態を知るやり方も考えられるかもしれない。