国内

白石容疑者「色管理」でやっと食いつないでいたという悪評も

スカウトは存在そのものが違法になったのだが…

 神奈川県座間市のアパートの一室から、人間の頭部が9つ見つかった。この部屋に住んでいる白石隆浩(27)が死体遺棄容疑で逮捕され、殺害も認めているが、全容解明にはまだ時間がかかりそうだ。常軌を逸した事件の容疑者の人となりが自然と脚光を浴び、この男が「スカウト」で、今年2月に茨城県で職業安定法違反で逮捕され執行猶予中の身だったことも注目を集めている。違法でも続けるほど、スカウトは魅力的な仕事なのか。ライターの森鷹久氏が、地下に潜り悪質化しているスカウト行為が、容疑者に及ぼした影響について考えた。

 * * *
 神奈川県座間市のアパートから、女性8人、男性1人、計9 名の遺体が見つかった事件。容疑者の男はすでに逮捕され、犯行も概ね認めているというが、被害者の数もさる事ながら、容疑者がSNS上で「首吊り士」などと自称し、自殺志願者のユーザーらと連絡を取っていた事が明らかになり、世間を驚かせた。

 容疑者がかつて性風俗店へ女性を斡旋する「スカウト」であったことから、スカウトされた事のある女性、付き合っていたり同棲していた女性、性風俗店関係者や同業のスカウトマンらが、容疑者の性格、仕事ぶりなどについて証言する内容をメディアは報じている。「性格は優しかった」「仕事はいい加減だった」などと、容疑者の人となりが判明しているが、関東エリアに複数の店舗を持つ風俗業者役員は、容疑者の顔について次のように話す。

「容疑者が優しかったと報じられていますが、それは当たり前。典型的な色管理です。スカウトの存在自体が”違法”になって以降、容疑者のようなダメなスカウトが幅を利かせている」

“色管理”とは、主にホストの世界で語られる「客に恋愛感情を匂わせて接待する」ことである。彼氏彼女、という関係性を保ちながら、ホストは女性から金を巻き上げるのだが、往々にしてトラブルに発展しがちだ。キャバクラ店などで辞めて欲しくない女の子を引き留める手段としても一部で色管理は使われている。恋愛感情で女性を自分に依存させコントロールするので、仕事のスキルとしては邪道であり、仕事ができない人間がとる手法のひとつだとも見られている。

 色管理がダメな手法であるだけでなく、スカウトはそもそも、現在では違法な存在だ。

 2000年代に繁華街でのスカウトや勧誘行為が問題となり、職業安定法が改正され、都道府県の迷惑防止条例も次々とスカウト行為について重点的に取り締まる法改正が繰り返された。今では路上でのスカウト行為、立ち塞がり、つきまとい、キャバクラ等への仕事の斡旋が違反行為と定められている。そして現在では、スカウトマンは路上に立つことすら許されなくなった。

 ところが、例えば新宿や池袋、渋谷の街を歩けば今なお、違法スカウト業者が暗躍している事は一目でわかる。

「お姉さん、金欲しいっしょ!」「キャバ50、ソープ100」

 これは、筆者が2000年代半ばころ、渋谷のスカウトから聞いた「女性へかける文句」である。高収入を謳い、道行く女性を引っ掛けて、キャバクラや性風俗店に紹介する。スカウトは、紹介した店舗から収入が得られるが、当時は「買取」と「バック」という、大きく分けて二つの収入益を選択できた。

 買取とは、紹介した女性を性風俗店に「買い取って」もらうこと。かつてはソープランドに女性を紹介したことで、百万円オーバーの”ギャラ”が発生したスカウトもいた。一方のバックは、性風俗店に紹介した女性がの売り上げから、毎週や毎月、一定額がスカウトに支払われるパターンだ。この場合でも、女性が多くの客と接すれば、スカウトには週に数十万円ものギャラが発生した。

「儲かる仕事」とされ、この時期には街に多数のスカウトが林立し、少年漫画の題材にもなった。まさに「スカウトバブル」といってよい状況だったといえる。

 そうしたバブルは、スカウトへの取り締まりが強化されると、一気に弾けた。その後に残ったのが、弱い女性を食い物にするような、違法かつ悪質なスカウト達だ。容疑者も、そんな悪質なスカウトの一人。

関連記事

トピックス

筋金入りのビートルズファンだという水卜麻美アナ
水卜麻美アナ、中村倫也と結婚でも“日テレ愛”を貫けるか フリー転身の現実味
NEWSポストセブン
清原和博氏(右)と次男の勝児内野手
清原和博氏、次男・勝児の甲子園デビューで驚いた「PL野球と慶応野球の違い」
週刊ポスト
旧NHK党党首の立花孝志氏(左)とガーシーこと東谷義和氏(筆者撮影)
【ドバイに集うクセモノ日本人】ガーシーが最長10年居住できる「ゴールデンビザ」を取得した経緯
週刊ポスト
今季のメジャーリーグでのプレーは大丈夫?(写真/EPA=時事)
2009年のイチローは開幕間に合わず…WBCメジャー組「それぞれの難局」大谷翔平は大丈夫か
週刊ポスト
恒例のように「フリー転身」が噂される日本テレビの水卜麻美アナだが…
《夫婦で幸せ生報告》水卜麻美アナ電撃結婚で心配される『DayDay.』黒田みゆアナにのしかかる新番組のプレッシャー
NEWSポストセブン
岡田阪神へプロ野球記者たちも期待(時事通信フォト)
【プロ野球記者座談会】WBC後のシーズンで岡田阪神に高まる期待と侍J中野拓夢への不安要素
週刊ポスト
岩田絵里奈アナと結婚発表の水卜麻美アナ
日テレ・水卜麻美アナの電撃結婚の背景にあった「岩田絵里奈アナの“左遷人事”」
NEWSポストセブン
水卜麻美アナと電撃婚の中村倫也、「絶対に彼の良さは伝わる」事務所社長が信じ続けた俳優としての才能
水卜麻美アナと電撃婚の中村倫也、「絶対に彼の良さは伝わる」事務所社長が信じ続けた俳優としての才能
NEWSポストセブン
“体に入れるもの”にこだわっていた道端ジェシカ(時事通信フォト)
カエル毒、粘土を使って…道端ジェシカ容疑者「薬物逮捕」で注目される“特殊な健康志向”
週刊ポスト
不倫疑惑も報じられた篠田麻里子
《離婚成立》篠田麻里子、不倫疑惑で「地元福岡ドラマ」の出演が見送りになっていた 始球式務めたホークスとも離別
NEWSポストセブン
明菜
中森明菜が突如コメント「バカ殿」志村けんさんとのこと「どれだけダメ出しされても大丈夫」のアドバイスも
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 「夫婦の年金」「家族の相続」必勝法ほか
「週刊ポスト」本日発売! 「夫婦の年金」「家族の相続」必勝法ほか
NEWSポストセブン