近世小氷期とは14~19世紀に幾度も深刻な飢饉をもたらした寒冷期を指す。雨続きの今年は、雨量の増加が顕著だったこの時代の始まりを思わせるというのだ。
ちょっと飛躍しすぎでは……と思いきや、湿度の面でも今年は「近世小氷期」に近づいているという。数年前まで8月の湿度は60~70%台で推移していたが、今年の東京はついに83%と、近世小氷期並みの水準だ。太陽物理学者で武蔵野美術大学准教授の宮原ひろ子氏がいう。
「伊勢神宮の樹齢459年の杉の古木の年輪を分析したところ、近世小氷期の末期の夏の湿度は83%もあったことがわかったのです。近世小氷期はそれだけ雨が多かったのです」
◆世界の大河が凍りつく
理化学研究所の主任研究員・戎崎俊一氏も、「氷河期到来説」を主張する。
「日本の多雨だけが根拠ではありません。近年、世界各地の寒暖差が極端になっています。これは近世小氷期の中でも特に気温が下がった1645~1715年頃の『マウンダー極小期』にも見られた状況です」
マウンダー極小期は、別名「ミニ氷河期」とも呼ばれる。地球の平均気温は1.5度下がり、欧州では英国のテムズ川やオランダの運河が凍りついたという。日本でも同時期、寛永の大飢饉(1642~1643年)などいくつも大飢饉が起きている。