いうまでもなく、喫煙そのものは違法な行為ではない。ただでさえ喫煙者にとってみれば肩身の狭い中、家の中までがんじがらめにされればたまったものではないだろう。しかも、全国で家庭内に権力が介入する事態となれば、その先には看過できない問題も潜んでいる。
「子どもを守る」という謳い文句で、たばこのみならず、次はお酒などの嗜好品を規制しようという動きが高まったり、子どもに一定量以上のスナック菓子を与えてはならないとの条例案が浮上したりする可能性も否定できない。不寛容な社会への道を開くことになる。なおかつ、近隣住民がその“違反”通報するということになれば、かつての隣組のような様相を呈してくる。行政の過度なプライベート空間への介入は「監視社会」を助長させるだけだ。
※SAPIO2017年11・12月号