長岡氏は産経の報道については何も言及していない。だが、“大好きな安倍首相”が敵視する朝日への批判を産経は見逃さなかった。安倍側近記者を自他共に認める阿比留瑠比・編集委員がこのブログを取り上げ、『「安倍大嫌い」と延々と書く朝日新聞』というコラムをものした。
目下、その朝日と産経は、ニュースの伝え手ではなく、当事者となって「親アベvs反アベ」の代理戦争を紙面で展開している。発端は総選挙公示前の10月8日に日本記者クラブで開かれた党首討論にさかのぼる。
朝日の論説委員から加計学園問題を質問された安倍晋三・首相は不満を隠そうともせず、逆に朝日批判を展開。国会の閉会中審査(7月)で加戸守行・前愛媛県知事が加計学園への獣医学部新設認可方針を「ゆがめられた行政が正された」と評価したことを引き合いに「加戸氏の証言を朝日は全く報じていない」「国民はよくファクト・チェックをしてほしい」と逆襲に出た。
◆燃える紙面バトル
もっとも、これは首相の事実誤認で、朝日は加戸証言を「紙面に10回以上掲載した」と検証記事を出し、本来なら一件落着のはずだった。ところが、両紙のバトルはここからあらぬ方向に燃え上がっていく。
首相の援軍に乗り出した産経は翌日に阿比留編集委員が〈驕れるメディアは久しからず 朝日・毎日のベテラン記者の噴飯質問に思わず赤面してしまった…〉と書き、選挙戦さなかの10月16日付紙面でも〈読者の安倍への不信感が募るようにレッテル貼りを繰り返す。こんなものは権力の監視でも何でもない〉と朝日の報道姿勢を徹底的に叩いた。