「ブラックフライデーに熱心なところは、クリスマスや年末年始商戦の前哨戦として、お値打ち商品で他社より早く消費者を刈り取っておきたいという思惑があります。
その一方で、クリスマスや正月など通常より割高でも商品が売れる定番行事を控えて、わざわざ米国の真似をしてセールをする必要がないと考える小売業もあります。
たとえ歳末セールを前倒しした“在庫一掃”の目的があったとしても、正月を過ぎてくると冬のクリアランスセールでイヤでも在庫処分の時期に入っていくわけですしね」
そもそも近年は、ネット通販でも大掛かりな特売セールが頻繁に行われているため、リアル店舗のセール期間をめがけて店舗に足を運ぶ顧客も少なくなった。事実、ブラックフライデーの本場であるアメリカでは、今年の年末商戦の支出予定額で実店舗よりオンラインのほうが多くなるとの予測を出す調査機関もあるほどだ。
「共働き世代が増えているいま、生鮮食品やデイリー食材ならともかく、その他の商品は手軽なネット通販のセールやポイント還元情報などをチェックして購入している人が圧倒的に多い。ブラックフライデーの主戦場も、今後は店舗からネットに移行していくでしょう」(前出・河野氏)
なによりも、消費意欲をかきたてる家計が潤ってこなければ、ブラックフライデーもプレミアムフライデーと同様、単なる“イベント疲れ”で終わってしまうことは想像に難くない。