昨年末は紅白歌合戦出場、今年に入ってからも主演映画が立て続けに公開され、俳優としてますます進化を遂げ続けている桐谷健太(37才)。CMで見せる明るく豪快なイメージとは裏腹に、映画『ビジランテ』では、今までと違った顔を見せる…。
子供時代に行方をくらました長男・一郎(大森南朋・45才)、市議会議員の次男・二郎(鈴木浩介・42才)、デリヘルの雇われ店長の三男・三郎(桐谷)。父親の死をきっかけに再会した兄弟たちは、遺産相続を巡って対立。地方都市の閉鎖的な空間の中、それぞれの人生が狂い始める。
そんな家族の葛藤を描いた映画『ビジランテ』。桐谷が演じるのは心に闇を抱えた三兄弟の末っ子・三郎。短期間で撮影され、現場はかなりハードだったという。
「前日から翌朝10時まで撮影が続いて、昼の12時に再開ということもたびたび。素の自分より三郎でいる時間の方が長かったんです。だから、三郎というキャラを転がるように演じられたというか、あまり考えずにやれたのが面白かったですね」
しがらみや欲望に振り回される三郎たちが生きるのは、埼玉のとある田舎町。大阪出身の桐谷は、自らが育った町についてこう語る。
「土地への愛着というよりも、そこに家族や友達が住んでいるという環境への愛着がでかい。大阪の風景はどんどん変化して寂しさもありますが、住む人たちの存在の大きさは変わりません」
映画では、別々の道を歩みながら、家族という切り離せない繋がりに翻弄される兄弟の姿が描かれるが、実生活でも兄がいる桐谷にとって家族とはどんな存在なのか。
「つねに心のどこかにいる存在です。おとんは自由でほんわかした人で、兄貴は小学生のころから目立っていたから、憧れの存在だった。おかんのことは子供のころからめっちゃ好きでしたし、地球の裏側にいても自分のことを見ていてくれる、そんな安心感があります」
家族のことを話すとちょっぴり照れくさそうに笑う。豪快で男気溢れるイメージの一方で、取材中は“体を冷やさないように”とポットに入った白湯を飲み、体を気遣う一面も。
桐谷という男、まだまだ底知れぬ魅力が隠れていて目が離せない。
撮影/LUCKMAN
※女性セブン2017年11月30日・12月7日号