ビジネス

すかいらーく禁煙令 「隠れ査定」の重圧になるとの指摘も

通勤途中の「一服」も認められない風潮になるのか

 外食チェーン大手の「すかいらーくグループ」が、12月1日より東京都武蔵野市にある本社内をすべて禁煙にするとともに、約300人いる社員を対象に、就業時間のみならず往復の通勤区域内での喫煙も禁止する方針をぶち上げ、大きな話題となっている。

 ネット上では、〈社員の健康のためには当然〉〈店舗も早く全面禁煙にしてほしい〉といった肯定的な意見が出る一方で、〈通勤中の行動まで干渉するのはさすがにやり過ぎ〉〈合法的なたばこを一方的に禁止するのは人権侵害だ〉との激しい反対意見も多く見られ、賛否両論が渦巻いている。

 当のすかいらーくに取材してみると、広報担当者はあまりの反響の大きさに少々困惑ぎみに、こう話した。

「あくまで弊社のオフィスがある最寄り駅(三鷹)から会社に着くまでの間で、歩きたばこなどマナーを守らない喫煙はやめましょうと社員に呼び掛けているだけ。

 特に罰則を設けている規定ではありませんし、コンビニなど会社付近の喫煙コーナーでたばこを吸うのも禁止しているのは、受動喫煙の影響や企業イメージの低下につながらないとも限らないからです」

 とはいえ、同社は2014年から社員の禁煙を徐々に推奨し、すでに役員は全員禁煙しているという。また、今回の一件も会社周辺エリアの“禁煙令”といいつつ、「社員の健康を考え、できれば禁煙しましょうという話なので、それ以外の場所でも吸わないのが望ましい」(前出・広報担当者)と話している。つまり、最終的なゴールは全社員の禁煙化だ。

 近年、すかいらーくに限らず、星野リゾートのように人材募集の段階から喫煙者を採用しなかったり、禁煙に成功した既存社員に報酬や休暇を与えたりする企業が増えている。

 たばこを吸わない社員ばかりを優遇するのはなぜなのか。人事ジャーナリストの溝上憲文氏が企業側の狙いを語る。

「メタボと同じで、健康に悪いとされる生活習慣を放っておいて社員が病気になれば、欠勤や休職者が増えて人件費増につながりますし、業務に支障が出ます。また、喫煙だけで見れば、喫煙者自身の健康のほか、受動喫煙による周囲への影響も社会問題化しているため、できるだけ社内の禁煙率を高めて将来的なリスクを減らしたいというのが企業側の本音です。

 ましてや、すかいらーくのような外食企業は東京オリンピックを控えたいま、受動喫煙防止の規制対象としてもっともターゲットにされている業界です。今回の一件は、そんな対外的なイメージも気にして、“社員の禁煙化から積極的に進めています”という意識啓発の狙いも大きいのだと思います」

 しかし、労働法上の観点からいうと、ネット上の声のように会社が通勤時間まで社員の喫煙行為に口出しするのは、少々やり過ぎのきらいもある。社会保険労務士の稲毛由佳氏がいう。

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