ライフ

羽生善治が「永世7冠」なら藤井四段は「永世8冠」狙えるか

天才が天才を超える日はやってくるのか(写真:時事通信フォト)

 藤井聡太・四段(15)の快進撃が注目を集めた1年の締めくくりに、将棋界の話題をさらったのは、やはり“史上最強の棋士”だった。12月4~5日の竜王戦第5局を前に、将棋界は「羽生善治・棋聖(47)が『永世7冠』に王手」と沸きに沸いた。観戦記者がいう。

「羽生さんは1996年に『7冠独占』で世間の話題をさらい、その後も前人未到のペースでタイトルを獲得してきた。将棋のタイトルには『永世称号』というものがあり、連続5期、通算10期獲得といった各棋戦の規定を満たした棋士に与えられる。羽生さんはこれまでに6つの永世称号を手にし、今回の竜王戦が7つ目の永世称号への挑戦だ。前回、羽生さんが永世7冠に挑んだ2008年の竜王戦では“勝てば国民栄誉賞”という情報も流れた。誰一人やったことのない偉業です」

 15歳のデビュー以降、勝ち続けてきた証である。ただ、その羽生棋聖の記録を今年、次々と塗り替えたのが藤井四段だ。デビュー29連勝の史上最多記録にとどまらず、11月21日には棋界最年少で「通算50勝」を達成した。

 現在は羽生棋聖の7冠独占の時代にはなかった新タイトル「叡王戦」(2017年度から)もある。藤井四段は、“羽生超え”の「8冠独占」や(現時点では叡王戦に永世称号の規定がないものの将来的な)「永世8冠」に手が届くのか。著書に『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』があるライター・松本博文氏はこういう。

「羽生棋聖が凄いのは現・将棋連盟会長の佐藤康光・九段(48)や十八世名人の資格保持者である森内俊之・九段(47)ら強力な『羽生世代』のライバルを押しのけてタイトルを獲り続けたこと。藤井四段も同じように同年代を圧倒できるかが一つのカギとなるでしょう。

 新人王戦を2連覇した増田康宏・四段(20)や藤井四段の連勝記録をストップした佐々木勇気・六段(23)ら才能溢れる若手がいますし、何より今回の“藤井ブーム”で将棋を始めた世代がライバルになってくるのではないか。将棋ソフトやインターネット対局など強くなるためのツールが発達し、上達スピードが凄まじい。羽生棋聖を超えられるかは、そうした“まだ見ぬライバル”に勝ち続けられるかにかかってきます」

 本来なら“高すぎる壁”のはずだが、それでもなお、ファンは期待してしまう。

※週刊ポスト2017年12月15日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

防犯カメラが捉えた緊迫の一幕とは──
《浜松・ガールズバー店員2人刺殺》「『お父さん、すみません』と泣いて土下座して…」被害者・竹内朋香さんの夫が振り返る“両手ナイフ男”の凶行からの壮絶な半年間
NEWSポストセブン
リモートワークや打合せに使われることもあるカラオケボックス(写真提供/イメージマート)
《警視庁記者クラブの記者がカラオケボックスで乱痴気騒ぎ》個室内で「行為」に及ぶ人たちの実態 従業員の嘆き「珍しくない話」「注意に行くことになってるけど、仕事とはいえ嫌。逆ギレされることもある」 
NEWSポストセブン
「最長片道切符の旅」を達成した伊藤桃さん
「西国分寺から立川…2駅の移動に7時間半」11000kmを“一筆書き”した鉄旅タレント・伊藤桃が語る「過酷すぎるルート」と「撮り鉄」への本音
NEWSポストセブン
ドジャース・山本由伸投手(TikTokより)
《好みのタイプは年上モデル》ドジャース・山本由伸の多忙なオフに…Nikiとの関係は終了も現在も続く“友人関係”
NEWSポストセブン
齋藤元彦・兵庫県知事と、名誉毀損罪で起訴された「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志被告(時事通信フォト)
NHK党・立花孝志被告「相次ぐ刑事告訴」でもまだまだ“信奉者”がいるのはなぜ…? 「この世の闇を照らしてくれる」との声も
NEWSポストセブン
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・“最上あい”こと佐藤愛里さん(Xより)、高野健一容疑者の卒アル写真
《高田馬場・女性ライバー刺殺》「僕も殺されるんじゃないかと…」最上あいさんの元婚約者が死を乗り越え“山手線1周配信”…推し活で横行する「闇投げ銭」に警鐘
NEWSポストセブン
伊勢ヶ濱親方と白鵬氏
旧宮城野部屋力士の一斉改名で角界に波紋 白鵬氏の「鵬」が弟子たちの四股名から消え、「部屋再興がなくなった」「再興できても炎鵬がゼロからのスタートか」の声
NEWSポストセブン
環境活動家のグレタ・トゥンベリさん(22)
《不敵な笑みでテロ組織のデモに参加》“環境少女グレタ・トゥンベリさん”の過激化が止まらずイギリスで逮捕「イスラエルに拿捕され、ギリシャに強制送還されたことも」
NEWSポストセブン
親子4人死亡の3日後、”5人目の遺体”が別のマンションで発見された
《中堅ゼネコン勤務の“27歳交際相手”は牛刀で刺殺》「赤い軽自動車で出かけていた」親子4人死亡事件の母親がみせていた“不可解な行動” 「長男と口元がそっくりの美人なお母さん」
NEWSポストセブン
荒川静香さん以来、約20年ぶりの金メダルを目指す坂本花織選手(写真/AFLO)
《2026年大予測》ミラノ・コルティナ五輪のフィギュアスケート 坂本花織選手、“りくりゅう”ペアなど日本の「メダル連発」に期待 浅田真央の動向にも注目
女性セブン
トランプ大統領もエスプタイン元被告との過去に親交があった1人(民主党より)
《電マ、ナースセットなど用途不明のグッズの数々》数千枚の写真が公開…10代女性らが被害に遭った“悪魔の館”で発見された数々の物品【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン