ただし、田中角栄の写真を2万枚も撮ったカメラマンの山本皓一氏がレンズ越しに見た実像はそんな“伝説”とは違う。
「田中邸を訪れた官僚に、角さんが『おい、そういえば今度息子が受験だな』と声をかける。近所のおせっかいなおじさんのような愛嬌たっぷりの表情だったが、言われた官僚の顔は真っ青になった。そこまで情報を知られているのかと肝を冷やすわけです。
しっかり政界と霞が関に情報網を張り巡らせ、“誰がどこで何を言ったかわかるぞ”と凄味を利かせていたからこそ、官僚になめられる太鼓持ちにはならず、官僚はついてきた。進次郎が掲げたこども保険などの政策には財務省の知恵者の影がちらついているが、官僚に頼るだけでは、霞が関の傀儡にされるリスクがある」
※週刊ポスト2017年12月15日号