中国経済ジャーナリストの莫邦富氏はいう。
「中国には『儲けたければ、道を作れ』という諺がある。2002年にイランを取材で訪れたとき、石油省の庁舎にイランから中国までつながるパイプラインの模型が置かれていた。当時は夢のようだと一笑に付したが、今ではそれが実現しつつある」
一方で、中国のこうした動きは、租借した港湾をいずれ軍事拠点化するのではないかという警戒心を世界中で喚起している。
「飛び地の基地を防衛するのは困難なので、軍事拠点にはなりにくい。ただ、遠洋に出た中国海軍の補給基地としては有用です」(小原氏)
補給目的だとしても、中国海軍の艦船が続々と寄港すれば、各地で軋轢を生む懸念は拭えない。
「豪州のダーウィン港やスリランカのコロンボなどは中国が99年間租借する契約を結んでいます。99年という期限は英国が香港を統治した年数と同じ。一連の海外進出には、リベンジの意識も見て取れます」(小原氏)
戦後の国際秩序をゲームチェンジしようとする中国の意志は固い。
※SAPIO2017年11・12月号