米山氏が推奨するのは、歯磨きを「食前」と「食後」の両方に行ない、それぞれ磨き方を変えるやり方だ。
「食前の歯磨きは、ブラッシングで口の中を刺激してサブスタンスPの分泌を促し、嚥下力を高めるためのものです。歯磨き粉は使わなくていいので、食事の味が変わる心配もありません」
一方、食後の歯磨きは食べかすとともに細菌を減らすための役割を担う。
「まず、口の中に残った食べかすを出すためにうがいを十分に行ない、それから歯を磨きます。細菌がたまりやすいのは、歯と歯の間や詰め物をした部分、歯の裏側など。磨き残しがちな場所なので、とくに念入りに磨くこと。一番磨きにくい奥歯から始めましょう」(同前)
表側ではなく、裏側から磨き始めるのがよいと米山氏は続ける。
「歯の裏側の汚れは落ちにくいので、念入りに磨くためにも最初にとりかかるほうがいい。歯の表は唇の裏側との摩擦や唾液の作用で汚れが落ちやすいので、最後にサッと磨けば十分です。歯茎も優しくブラッシングして、隙間に入り込んだ細菌を取り除く。終わったら一度うがいをし、それから舌の表面や上あご、頬の裏の粘膜をやさしくなでるようにぬぐいましょう」
歯ブラシで舌や粘膜を磨くと傷つけてしまうので、舌は舌ブラシ、上あごや頬はスポンジブラシと、それぞれに対応した専用ブラシを使う。そうして時間をかけるだけの意味があると米山氏は強調した。