企業の利益拡大と株価上昇は、従業員の圧迫によって達成されている。現に、安倍政権の5年間で、実質賃金は4%も下落しているのだ。もちろん、そんな成長は長続きしない。賃金が下落して、消費が増えるはずがないからだ。ただ、バブルが崩壊しても、社会構造は変わらないだろう。
著者は、さらに恐ろしい予想をする。ネット社会では、中間所得層が崩壊する。例えば、舞台で活躍する役者はたくさん必要だが、映画が普及してスターが少数でよくなったように、ネットの社会でも一部のスターが所得を総取りするようになるからだ。一方で、ネット社会は、無償で楽しめるエンターテインメントを増やす。
勝ち組が、さらにカネを増やすためにマネーゲームに勤しむ一方で、庶民は、ずっとスマホをいじっている。それが、これから訪れる近未来の風景なのかもしれない。
※週刊ポスト2018年1月1・5日号