60歳以降も再雇用などで働き口がある一般的なケースを想定した場合、問題は65歳で仕事をリタイアした後です。趣味や友人との交遊に制限をかけたくなければ、この時期の年金額がとくに手厚くなるように受け取るのがよいでしょう」
ここでは「65歳からの10年間」の受給総額が重要になる。これを最大化できるのは「65歳」受給である。
厚労省のモデルケースで考えると、65歳受給開始なら夫婦で10年間の受給総額が約2655万円。夫婦で60歳に繰り上げた場合、あるいは70歳まで繰り下げた場合と比べ、65~74歳の受給額は約800万円も多くなる。65歳のリタイア後にゆるやかに趣味を楽しみたい場合、有力な選択肢となるのだ。
「60~64歳の生活費を考えると、『妻だけ60歳』への繰り上げはあっていいが、額が大きい夫の年金の繰り上げは避けるのが賢明」(同前)
妻の年金だけ繰り上げたとしても、65歳からの10年の受給総額は約2421万円確保できる。
※週刊ポスト2018年1月1・5日号