会社の深淵にどこまで踏み込んで書くかの判断も難しいという。実は1985年の日航機墜落事故で、同社社員3人が命を落とした。「1人は会社の重責を担う社員でしたし、彼らのヒストリーにもしっかり行数を割く予定。ただ、社内ではいろいろな意見が出ています」(樋川氏)
かつて遊園地・宝塚ファミリーランドには、1965年に象印が寄贈した子象「サクラ」がいた。閉園(2003年)とともにすっかり忘れ去られていたが、韓国の動物園に引き取られ、現地でもサクラの名前で親しまれていたことが最近わかった。「こんな、ほっこりする秘話も入れたいですね」と樋川氏は語る。
2年に一回、社史を表彰している日本経営史研究所は「読んでもらう努力をした社史」に特別賞を与えている。「ここをゴールにしようと決めています」(樋川氏)という。
社史作りの可能性は無限大だ。
※週刊ポスト2018年1月12・19日号