取材歴60年以上の賀川浩氏
◆ワンチャンスを活かす戦い方
賀川氏はこう続ける。
「もちろん格上相手に勝つためには、守備を固めるのが絶対条件。アジア予選では、陰のMVPは吉田麻也(サウサンプトン、29)だったと思います。18試合にフル出場し、カードをもらいやすいセンターバックながら警告は1枚のみ。吉田が本大会でも同様の安定感を発揮した上で、川島永嗣(FCメス、34)のスーパーセーブが何度か出て初めて、勝機は見えてくる。
攻撃では、“ワンチャンスを活かす”ことにすべてを懸けられるかがカギでしょう。一部のヨーロッパの強豪国のように、守りに徹した上で、ボールを奪った瞬間からのカウンターで1点を取り、それを守り切る。そんなサッカーを徹底できれば、勝ち上がるチャンスは十分にある」
93歳7か月でロシア大会開幕を迎える賀川氏は、今回も現地取材に行きたいと願っている。
「サッカーを通じたロシアと日本の“縁”は意外と深いんです。1964年の東京五輪前は、旧ソ連のクラブチームとの親善試合などで強化が図られ、1968年メキシコ五輪での銅メダルにつながった。日本代表にとっては恩師のような国なのです」
11度目のW杯取材で、賀川氏は“日本躍進”の記事を書くことができるのか。
※週刊ポスト2018年1月26日号