新聞の片隅に小さい文字で掲載された「人事情報」に霞が関がざわついている。
〈外務省(9日)北米第二課長、孫崎馨〉(日経新聞1月9日付朝刊)
北米第二課は「アメリカ、カナダの経済に関する外交政策」(外務省HPより)を担う。そのトップに赴任する孫崎馨氏は、東京大学卒業後、1995年に外務省入省。経済局を中心にキャリアを重ね、直近の役職は在エジプト日本大使館の参事官だった。その経歴を見れば、「順当な人事」のはずだが、なぜ物議を醸しているのか。
「特徴的な名字で分かるかもしれませんが、彼の父親は外務省OBで評論家の孫崎享氏です。それゆえに『よりによって北米とは!』と驚きの声が上がっている」(外務省関係者)
享氏も外務省時代に国際情報局局長、駐イラン大使などを歴任した外務省エリートだったが、現在ではむしろ「アメリカに物言う論客」として有名である。
20万部突破のベストセラー『戦後史の正体』をはじめ、『アメリカに潰された政治家たち』『日米開戦の正体』など、アメリカからの圧力をテーマとした著作が人気を博している。日本政府の外交姿勢についても舌鋒鋭く、ツイッターでは、
〈戦後の象徴的存在である平和路線から政権は決別している。そして法的にも装備でも戦争をする国家造りに入っているのは間違いない〉(1月2日)
と厳しく安倍政権を批判している。