「糖尿病患者は腸内フローラの乱れにより腸管の粘膜のバリア機能が破綻しており、血液中に入り込んだ腸内細菌が全身に回って肝臓や筋肉、脂肪などで免疫・炎症系を活性化して、慢性炎症を引き起こします。体内に慢性炎症が生じるとインスリンが効かなくなり、血糖値が上昇します」(小川教授)
小川教授がいう「腸内フローラの乱れ」とは、特定の腸内細菌の減少や少ないはずの腸内細菌の異常な増加などを指す。現時点でどの腸内細菌が産生するSCFAが重要なのかなどの詳細は分かっていないが、腸内フローラの乱れが肥満や糖尿病をもたらすことは確かだと考えられている。
「太っている人と痩せている人を比べると、腸内細菌の種類や数が大きく異なります。肥満や糖尿病の人は腸内フローラの多様性が失われており、本来は花畑のように華やかなはずが雑草だらけになっている。それが糖尿病はじめ様々な疾患をもたらしていると考えられています」(小川教授)
現在、がんやうつ病などでも腸内細菌を用いた治療法の研究が進んでいる。
※週刊ポスト2018年1月26日号