冬に旬を迎える「ずわいがに」。漢字では「楚蟹(ずわえ)」や「津和井蟹」とも書く。「松葉がに」(鳥取県、島根県、兵庫県)や「越前がに」(福井県)なども、水揚げ地によってブランド名がひとり歩きしているが、同じずわいがにである。
うまみ成分のグルタミン酸やグリシンを多く含有し、濃厚な甘みが特徴。体の大きな雄の方が高価で味もよいとされる。旬は、雄が11月中旬から3月上旬くらいまで。近年では輸入ものも手頃な価格で一年中店頭に並ぶ。
栄養面で特筆すべきは、なんといってもかに身の赤色を作るアスタキサンチン。β-カロテンやリコピンなどと同じくカロテノイドの一種で高い抗酸化作用をもち、免疫力を高める効果があるとされる。また、貧血症の改善や目の疲れなどの予防に役立つビタミン12も豊富に含む。
スーパーなどでは、ボイルしたものや足のむき身を見かけることが多いが、調理するなら冷凍ものもリーズナブルな価格で使いやすい。ただし足が早いので、解凍したら使い切ること。
家庭料理研究家の松田美智子さんはこう話す。
「濃厚なうまみと繊細な食感が持ち味のずわいがには、そのまま食べてももちろんおいしいのですが、火を通すと極上のだしの役割も果たしてうまみ増幅。ピラフはホームパーティーでも喜ばれること請け合いです」
【ずわいがにの準備】
かには足が早いが、水揚げ→ボイル→急速冷凍でうまみをぎゅっと閉じ込めた冷凍ものは、手頃な価格で使い勝手もいい。
「必ず自然解凍をしてキッチンペーパーに挟み、余分な水分を吸い取ってください。また、むき身でもかにの足には軟骨がありますので、調理前に抜くこともお忘れなく」(松田さん)。
◆『本格かにピラフ』の作り方
【1】米2カップはといで10分浸水し、ざるに上げて15分水切りする。ずわいがにの足6本は軟骨を除いて大きめに裂く。マッシュルーム8個は石突きを除いて薄切りにする。
【2】オーブンに入れられて直火にかけられる土鍋、あるいはオーブンウエアで蓋のある鍋に、オリーブ油大さじ2とにんにくのみじん切り小さじ1/2を入れ、中火で炒める。玉ねぎのみじん切り1/2個分を加えて焦がさないようにしんなりするまで炒め、発酵バター大さじ2と米を加える。
【3】米が白っぽくなったらマッシュルームとかにを加えさらに炒め、白ワイン1/4カップ、チキンスープ2カップを加えて煮立てる。
【4】塩小さじ1、白こしょう少量で調味し、蓋をして220℃に予熱したオーブンで30分焼く。小口切りにしたシブレット1/2束を散らし、大きく混ぜる。皿に盛り、好みでパルメザンチーズ適量をふっていただいてもおいしい。
撮影/鍋島徳恭
※女性セブン2018年2月8日号