中国広東省で、日中戦争時代に離れ離れになった90歳の姉と80歳代の弟が78年ぶりに再会していたことが分かった。同省の民間団体が同じ省内に別々に住んでいた2人が「きょうだい」だったことを突き止めたもので、その手掛かりになったのは姉が話す声の中に残っていた出生地の方言の汕頭(スワトウ)訛りだった。広東省の地元紙「広州日報」が報じた。
きょうだいの出身地は刺繍で有名なスワトウ市で、1940年1月に戦争が激しくなり、家族は故郷を離れて、一家離散の状態になってしまった。
姉は母親と一緒に、広東省広州市近くまで逃げ延びたが、そこで親子は別々になったという。その後、姉は広州市に住む中国人に助けられて、実の子同様に育ててもらい、結婚して、いまは幸せに暮らしている。
しかし、気がかりだったのは別れ別れになった母親や故郷の家族のことだった。
姉は戦争が終わってから、まず母親を探そうとして、はぐれた地域の住民に話を聞いて回っていたところ、たまたま人探しを手伝う民間のボランティア団体の人々と会ったことから、団体のメンバーが手分けして、母親の行方を探してくれることになった。その結果、母親は1960年代に亡くなったことが分かった。
姉は母の死を知り、一時は気落ちしたものの、やがて気を取り直して、ほとんど毎日、寺院を参拝して、「きょうだいに会わせてほしい」と手を合わせたという。
そこで活躍したのが、再び人探しのボランティア団体だった。そのメンバーが姉の話し方のアクセントにかすかにスワトウ訛りがあることに気付き、彼女の故郷はスワトウではないかと思い、スワトウの知人や友人に姉の名前を伝え、探してもらうことになった。