なぜ、幅広い憲法の中で4項目に絞られたのか。その裏にも打算が色濃い。保守論壇の大物、西尾幹二・電気通信大学名誉教授が語る。

「安倍首相の9条改正私案が公明党取り込みのための妥協なら、教育無償化は維新の党への配慮です。どちらも、憲法改正発議が国会で成立しやすくするためだけの取引材料。安倍さんは自分の手で改憲さえできれば中身はどうでもいい」

 憲法を改正した総理として歴史に名を残す。そんな安倍首相の姿勢を正論で批判しているように見える石破氏は、自民党の改憲4項目のうち「参院選の合区撤廃」の熱心な旗振り役だ。

 憲法学者の上脇博之・神戸学院大学法学部教授はそこに“我田引水”の不純な動機が見て取れるという。

「一票の格差是正で島根・鳥取と徳島・高知が合区された。自民党はそれを地域的不平等だとねじ曲げた論理で、憲法に各県から最低1人以上の参院議員を選出する条文を加えようとしている。鳥取選出の石破氏がそれを推進しているのは、地元選出議員を増やして自分の勢力拡大を考えているからでしょう」

 安倍首相が名誉欲なら、石破氏は数のために憲法もねじ曲げる。

 安倍政権は公明党や日本維新の会、希望の党の改憲賛成派などを取り込んで改憲案を発議し、来年7月の参院選に合わせて国民投票とのダブル選挙を実施する──というスケジュールを視野に入れている。

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