その国民投票さえ、自民党にとっては参院選を圧倒的に有利に戦う“抜け道”に他ならない。
参院選は公選法で新聞広告やテレビCMに規制があるが、憲法改正の国民投票は公選法の対象外で、第1次安倍内閣が成立させた国民投票法では、新聞や雑誌、ネット広告で改憲への賛成を呼びかけるのに制限が定められていない(テレビCMだけは国民投票14日前まで)からだ。しかも、政党交付金は自民党の年間約176億円に対して、立憲民主が約16億円、希望の党は約20億円で資金力は段違い。
「自民党がカネにまかせて参院選の公示後も憲法改正への賛成を呼びかける広告を新聞・ネットなどに流し続ければ、参院選で野党はひとたまりもない」(野党幹部)
前出の西尾氏はこう言って嘆息した。
「憲法改正は国の根幹にかかわる大事業。目先の都合や政治的打算で行なわれれば、必ず将来に禍根を残す」
こんな打算まみれの改憲論議の末に“自衛隊を合憲にしたぞ”と胸を張られても、最前線で国の守りにつく自衛隊員たちは虚しくなるばかりではないだろうか。
※週刊ポスト2018年2月9日号