ライフ

除菌で虫歯と歯周病を予防する「3DS」は生活習慣病にも効果

3DS(デンタル・ドラッグ・デリバリーシステム)を解説

 近年、細菌のDNA解析技術が飛躍的に向上し、口腔内細菌(バイオフィルム細菌)と生活習慣病との関連が明らかになりつつある。例えば、いくつかの口腔内細菌は腸管にダメージを与えることがわかっている。また、くも膜下出血で死亡した人の脳から見つかった虫歯菌のDNAが口腔内の細菌と一致したり、動脈硬化の場所に歯周病菌が見つかったなどの報告もある。そのバイオフィルム細菌を除菌し、生活習慣病の予防目的で開発されたのが3DS(デンタル・ドラッグ・デリバリーシステム)だ。

 鶴見大学歯学部探索歯学講座の花田信弘教授の話。

「国立感染症研究所勤務時代に虫歯のワクチンを作りましたが、まったく使われていません。というのも虫歯菌は薬剤耐性がないのに、バイオフィルム(菌膜)が作られると、ほとんどすべての薬剤が菌体に到達できなくなるからです。薬剤だけでなく、ワクチンで作られる抗体も同じ。虫歯菌がバイオフィルムを作るため、ワクチンだけでは除菌が難しいのです」

 1998年、ロンドン大学のグループがミュータンス菌(虫歯菌)の除菌に成功という論文が医学雑誌に掲載された。前処理として歯型に合わせて作製した樹脂製のトレー(マウスピース)で歯全体を覆い、そこに殺菌消毒剤を塗布したことがワクチンによる除菌を可能にした。

 花田教授は、この論文に基づき追試験を行ない、歯科衛生士による徹底した歯のクリーニングと装着したトレーに薬剤を塗布することでバイオフィルムを狙い撃ちにし、ミュータンス菌の除菌が可能になることを実証した。こうして誕生したのが3DS除菌法である。

 この除菌は虫歯菌や歯周病菌をゼロにすることを目指していない。重症の歯周病患者の唾液には1ミリリットルあたり100万個もの歯周病細菌がいるが、それを1000個程度に減らすことが目標だ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
フリー転身を発表した遠野なぎこ(本人instagramより)
「救急車と消防車、警官が来ていた…」遠野なぎこ、SNSが更新ストップでファンが心配「ポストが郵便物でパンパンに」自宅マンションで起きていた“異変”
NEWSポストセブン
モンゴルを訪問される予定の雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、「灼熱のモンゴル8日間」断行のご覚悟 主治医とともに18年ぶりの雪辱、現地では角界のヒーローたちがお出迎えか 
女性セブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
「『逃げも隠れもしない』と話しています」地元・伊東市で動揺広がる“学歴詐称疑惑” 田久保真紀市長は支援者に“謝罪行脚”か《問い合わせ200件超で市役所パンク》
NEWSポストセブン
佐々木希と渡部建
《六本木ヒルズ・多目的トイレ5年後の現在》佐々木希が覚悟の不倫振り返り…“復活”目前の渡部建が世間を震撼させた“現場”の動線
NEWSポストセブン
東川千愛礼(ちあら・19)さんの知人らからあがる悲しみの声。安藤陸人容疑者(20)の動機はまだわからないままだ
「『20歳になったらまた会おうね』って約束したのに…」“活発で愛される女性”だった東川千愛礼さんの“変わらぬ人物像”と安藤陸人容疑者の「異変」《豊田市19歳女性殺害》
NEWSポストセブン
児童盗撮で逮捕された森山勇二容疑者(左)と小瀬村史也容疑者(右)
《児童盗撮で逮捕された教師グループ》虚飾の仮面に隠された素顔「両親は教師の真面目な一家」「主犯格は大地主の名家に婿養子」
女性セブン
組織が割れかねない“内紛”の火種(八角理事長)
《白鵬が去って「一強体制」と思いきや…》八角理事長にまさかの落選危機 定年延長案に相撲協会内で反発広がり、理事長選で“クーデター”も
週刊ポスト
たつき諒著『私が見た未来 完全版』と角氏
《7月5日大災害説に気象庁もデマ認定》太陽フレア最大化、ポピ族の隕石予言まで…オカルト研究家が強調する“その日”の冷静な過ごし方「ぜひ、予言が外れる選択肢を残してほしい」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着で迷惑行為か》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン