国内

年平均気温4.5℃上昇、地球温暖化がもたらす最悪シナリオ

温暖化で4.5℃上がった時の最悪シナリオ

 21世紀末(2076~2095年)の年平均気温が20世紀末(1980~1999年)と比べて、全国平均で4.5℃上昇すると予測されている(2017年3月、気象庁発表『地球温暖化予測情報 第9巻』による)。

 21世紀末の日本の年平均気温は、全国平均で4.5℃上昇。東日本太平洋側にある東京は、4.3℃上昇するという。

「東京の現在の年平均気温(1981-2010年平均からの差)は15.4℃なので、現在の屋久島(年平均気温19.4℃)のような気温になりますね」

 と、気象庁地球環境・海洋部気候情報課調査官の田中昌太郎さんは言う。さらに、最高気温が35℃以上となる猛暑日の年間日数も全国的に増加。特に沖縄・奄美は増加日数が多くなり、例えば那覇の現在の猛暑日は年間0.1日(10年に1日に相当)だが、それが約54日に増加する計算になるという。

 一方、最高気温が0℃未満となる真冬日の年間日数は、沖縄・奄美を除いて全国的に減少。札幌の場合、現在は年間45日だが、21世紀末には約7日になると予測される。

「環境省の『日本の気候変動とその影響2012年度版』には、身近な温暖化の影響として次のような事例があげられています。熱中症の増加や、デング熱流行のリスクを持つ地域が、拡大する可能性がある等々で、このままでは、私たちの暮らしや生活サイクルの大幅な変更が余儀なくされるでしょう」(田中さん)

◆集中豪雨の発生が増加し、災害のリスクも高まる

 気温が4.5℃上昇すると、降水量はどうなるのだろう。

「1日の降水量が200mm以上となるような、大雨の年間発生回数は、全国的に増加。全国平均では2倍以上になります。1時間の降水量が200mm以上の短時間強雨の発生回数も全国的に増加し、全国平均で2倍以上という予測が出ています」(田中さん)

 ちなみに1時間に50mm以上の雨というのは、傘を1時間差していた場合、そこに牛乳パック50本分の雨が当たる状態を指す。こうした大雨により、河川の最終整備目標を越える洪水が起こり、山地の斜面崩壊の危険が増加するなど、災害のリスクが確実に深刻化する。

 その一方で、1日の降水量が1mm未満の“晴れ”の年間日数も全国的に増加するという。

「雨がまったく降らない日が続くかと思えば、雨が降るときは大雨という、極端な天候が予想されています。これは、このまま地球温暖化が進んだ場合の最悪のシナリオで、『地球温暖化予測情報 第9巻』に記されています。世界がどう温暖化に取り組むかによって、未来は大きく変わってくるのです」(田中さん)

※女性セブン2018年2月15日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

”辞めるのやめた”宣言の裏にはある女性支援者の存在があった(共同通信)
「(市議会解散)あれは彼女のシナリオどおりです」伊東市“田久保市長派”の女性実業家が明かす田久保市長の“思惑”「市長に『いま辞めないで』と言ったのは私」
NEWSポストセブン
左から広陵高校の34歳新監督・松本氏と新部長・瀧口氏
《広陵高校・暴力問題》謹慎処分のコーチに加え「残りのコーチ2人も退任」していた 中井監督、部長も退任で野球経験のある指導者は「34歳新監督のみ」 160人の部員を指導できるのか
NEWSポストセブン
二刀流復帰は家族のサポートなしにはあり得なかった(getty image/共同通信)
《プールサイドで日向ぼっこ…真美子さんとの幸せ時間》大谷翔平を支える“お店クオリティの料理” 二刀流復帰後に変化した家事の比重…屋外テラスで過ごすLAの夏
NEWSポストセブン
松本智津夫・元死刑囚(時事通信フォト)
【オウム後継「アレフ」全国に30の拠点が…】松本智津夫・元死刑囚「二男音声」で話題 公安が警戒する「オウム真理教の施設」 関東だけで10以上が存在
NEWSポストセブン
9月1日、定例議会で不信任案が議決された(共同通信)
「まあね、ソーラーだけじゃなく色々あるんですよ…」敵だらけの田久保・伊東市長の支援者らが匂わせる“反撃の一手”《”10年恋人“が意味深発言》
NEWSポストセブン
鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《デートではお揃い服》お泊まり報道の永瀬廉と浜辺美波、「24時間テレビ」放送中に配慮が見られた“チャリT”のカラー問題
NEWSポストセブン
8月に離婚を発表した加藤ローサとサッカー元日本代表の松井大輔さん
《“夫がアスリート”夫婦の明暗》日に日に高まる離婚発表・加藤ローサへの支持 “田中将大&里田まい”“長友佑都&平愛梨”など安泰組の秘訣は「妻の明るさ」 
女性セブン
経済同友会の定例会見でサプリ購入を巡り警察の捜査を受けたことに関し、頭を下げる同会の新浪剛史代表幹事。9月3日(時事通信フォト)
《苦しい弁明》“違法薬物疑惑”のサントリー元会長・新浪剛史氏 臨床心理士が注目した会見での表情と“権威バイアス”
NEWSポストセブン
海外のアダルトサイトを通じてわいせつな行為をしているところを生配信したとして男女4人が逮捕された(海外サイトの公式サイトより)
《公然わいせつ容疑で男女4人逮捕》100人超える女性が在籍、“丸出し”配信を「黙認」した社長は高級マンションに会社登記を移して
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
「同棲していたのは小柄な彼女」大麻所持容疑の清水尋也容疑者“家賃15万円自宅アパート”緊迫のガサ当日「『ブーッ!』早朝、大きなクラクションが鳴った」《大家が証言》
NEWSポストセブン
当時の水原とのスタバでの交流について語ったボウヤー
「大谷翔平の名前で日本酒を売りたいんだ、どうかな」26億円を詐取した違法胴元・ボウヤーが明かす、当時の水原一平に迫っていた“大谷マネーへの触手”
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(X、時事通信フォト)
大麻成分疑いで“ガサ入れ”があったサントリー・新浪剛史元会長の超高級港区マンション「かつては最上階にカルロス・ゴーンさんも住んでいた」
NEWSポストセブン