脂肪酸についての研究はまだ途上だ。トランス脂肪酸について書かれた「食べるプラスティック」「狂った脂肪」というキャッチーな見出しを見ると、つい恐れを抱いてしまうのが人間心理というもの。
だが、農林水産省は「日本人において、一番の問題と考えられているのは、食塩のとりすぎ」と断言している。「タバコ=悪」の構図が確立されたと思ったら、次なるやり玉にアルコールが挙げられそうな雰囲気もある。海外に目を向けるとイギリスでは、この4月から清涼飲料水に含まれる砂糖の量に応じて課税される「砂糖税」が導入される(イギリスの糖尿病の罹患率は世界205の国と地域中163位。157位の日本よりも低い)。
極論すれば、どんな食べ物でも摂りすぎれば毒になる。栄養における、英雄と犯人は紙一重。そして健康被害にまつわる犯人探しは永遠に続く。