国際情報

日本は中国の4分の1の国力を確保すれば十分に対抗できる

トランプは南シナ海を中国に差し出した可能性がある The New York Times/AFLO

 日本人はいつまでも米国が守ってくれると思い込んでいるのではないか。しかし、現実を直視する必要がある。米中は急激に接近し、両国の新型大国関係は事実上始まっている。むしろ米国から見放される可能性もあるのだ。京都大学名誉教授の中西輝政氏が警鐘を鳴らす。

 * * *
 2016年11月、安倍首相は世界の首脳で最も早く大統領選に勝利したばかりのトランプに会いに行った。以降も「トランプべったり」の個人外交を繰り返している。

 だが、昨年5月にドイツのメルケル首相が「欧州が他国に完全に頼ることができる時代はある程度終わった」と宣言するなど、欧州、中南米、カナダなどで“トランプ離れ”が進む。

 北朝鮮の核危機に目を奪われるあまり、日本だけが世界的な地殻変動を見逃しているのだ。確かに中国、北朝鮮という地政学的リスクを抱える日本が米国を頼るのは当面は合理的な選択だが、いったん有事になった時、本当に米国は当てになるのだろうか。

 歴史を振り返ると、米国は何度も同盟相手を見捨ててきた。第二次大戦時では日本と戦う中華民国を支援したが、蒋介石が国共内戦で毛沢東の共産党軍の攻撃を受けると、米国は援助を打ち切り蒋介石を見捨てた。

 また、冷戦時に南ベトナムやハンガリー、チェコが共産勢力と対峙した際も共産主義からの「解放」を訴えて支援を仄めかしたが、最後は見捨てた。建国以来、孤立主義の伝統がある米国には、「わが国が安全ならば、世界の正義と民主主義は生き延びる」との本能的な独善主義がある。日本に対しても同様だ。

 昨年2月、マティス国防長官が尖閣諸島について「日米安保条約の適用対象」と発言すると、日本のメディアは欣喜雀躍した。だが平時の抑止を目的とする安保条約には“逃げ道”が多い。

関連キーワード

関連記事

トピックス

愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
嵐について「必ず5人で集まって話をします」と語った大野智
【独占激白】嵐・大野智、活動休止後初めて取材に応じた!「今年に入ってから何度も会ってますよ。招集をかけるのは翔くんかな」
女性セブン
不倫騒動や事務所からの独立で世間の話題となった広末涼子(時事通信フォト)
《「子供たちのために…」に批判の声》広末涼子、復帰するも立ちはだかる「壁」 ”完全復活”のために今からでも遅くない「記者会見」を開く必要性
NEWSポストセブン
前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
昨年ドラフト1位で広島に入団した常広羽也斗(時事通信)
《痛恨の青学卒業失敗》広島ドラ1・常広羽也斗「あと1単位で留年」今後シーズンは“野球専念”も単位修得は「秋以降に」
NEWSポストセブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
元工藤會幹部の伊藤明雄・受刑者の手記
【元工藤會幹部の獄中手記】「センター試験で9割」「東京外語大入学」の秀才はなぜ凶悪組織の“広報”になったのか
週刊ポスト