日本中を感動の渦に巻き込んだ平昌冬季五輪が閉幕。新国立競技場では、2年半後の東京五輪に向けて、全工程中最難関とされる屋根工事が始まった(2月15日撮影)。建築アナリストの森山高至氏が解説する。
「この1か月でスタンド最上部の3階部分までが完成し、向かって右上(北東側)から順にいよいよ屋根の設置が始まりました。屋根は観客席を覆うように内側にせり出すので足場がなく、しかも50m近い高所作業なので、職人の技術が要求されます。
右下(南東側)の神宮第二球場と比べても、かなりの高さになることがわかります。屋根工事と並行して内装工事も着々と進んでいることでしょう」
屋根に使われるのは、47都道府県すべてから調達する、色合いや木目がそれぞれ異なる木材だ。そこには、設計した建築家・隈研吾氏の「全国の人々の心がひとつになるように」という想いが込められている。
3つある入場ゲートのひさしには、震災被災地の木材を使用。上方(北側)と右手(東側)は東北3県(岩手、宮城、福島)、下方(南側)は熊本県の木材となる。
●撮影/小倉雄一郎
※週刊ポスト2018年3月9日号