芸能

塩対応が持ち味の島崎遥香 深夜ドラマで「怪優」の仲間入り

嫉妬深くて攻撃的な元彼女を熱演

 テレビの視聴習慣は以前とはかなり異なってきている。ながら視聴は減り、録画が増えた。ネットで目にする番組の「レビュー」が視聴者の行動を大きく左右する。となれば、大きな宣伝予算を持つゴールデン枠の番組が数字をとるという意味では更に有利になるのだが、厳しいはずの深夜帯にも秀作は存在する。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。

 * * *
 なぜ、人はドラマを見るのか? ドキドキしたいから。予想外の展開にワクワクしたいから。次に続く物語のスリル感、どこへ着地するのかわからない面白さもまたドラマの大きな醍醐味のはずです。

『ドクターX』が視聴率20%超えした理由が“水戸黄門”っぽさにある、という指摘を見ました。『相棒』しかり、『科捜研の女』しかり。パターンを踏襲するドラマが高視聴率の傾向が目立つ。たしかに一話完結型だと途中の回から始めても見やすいし、パターンが決まっていれば安心していられる。しかし、ドラマ視聴者みんなが満足しているわけではないこともまた事実。

 一話完結型の入りやすさと、連続ドラマのスリル感。その両方の旨味を組み合わせた「良いとこ取り」作品を作るのは至難の業でしょうか?…そう思っているところにドンピシャ、優れたドラマが登場しました。『リピート~運命を変える10か月~』(日テレ系木曜23:59)。

 深夜枠ゆえなのか、視聴率は3%程度しかなく超低空飛行。視聴者満足度の調査でも、話題にすらならない歯がゆさ。しかし、もはや世間の評判なんてどうでもいい。『リピート』はドラマの三要素──役者、演出、脚本が見事に揃い総合力で光っています。

「あの時こうしていれば」と考えたことがない人は、いないはず。

「2度目の人生は衝撃の大どんでん返し!」というキャッチコピーが示すように、このドラマのテーマは「時を遡る」こと。“もし一回限り10か月前に戻る“ことができたら人はいったいどんな行動をとるのか、が物語の軸です。

 主人公・篠崎鮎美(貫地谷しほり)は、地味な性格の図書館司書。フリーターの圭介(本郷奏多)は夢を諦めかけた青年。カフェ経営者の天童太郎(ゴリ)、専業主婦の橫沢佐知子(手塚理美)、学歴コンプレックスを抱く予備校生・坪井(猪野広樹)など性格も仕事も背景もまったく違う8人が、たまたま「人生をリピートできる」と集められたところから物語は始まる。

 冒頭、集まった仲間、一人ひとりが抱える人間関係や生活が紐解かれていく。その意味で、滑り出しは一話完結型に近いオムニバス的展開。しかし、不慮の事故で一人が亡くなりまたひとりと、リピート仲間が消えていくあたりから、不気味な雰囲気が漂い始める。中盤からミステリー色がひときわ濃くなり、謎が謎を呼ぶ連続ドラマゆえのスリル感が増していきました。という意味でまさに、一話完結型と連続ドラマの「良いとこ取り」の構造なのです。

 何と言っても注目はまず、役者。

 鮎美役の貫地谷しほりはほんわりとした、生きることにちょっと不器用でまっすぐな女性を演じています。地味だけど自分らしい人生を手探りしていく素直な人物が、丁寧に表現されています。

 その相手役・圭介を演じる本郷奏多も、輝きを放っています。「金さえ手に入れば」とやさぐれ、キャバクラでバイトしていた圭介。しかし鮎美と出会って、手放した夢の大切さに改めて目覚める。前半と後半で変化していく繊細な人物像を鮮やかに印象的に演じ切っています。

関連記事

トピックス

役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さんが今も築地本願寺を訪れる理由とは…?(事務所提供)
《笑福亭笑瓶さんの月命日に今も必ず墓参り》俳優・山口良一(70)が2年半、毎月22日に築地本願寺で眠る亡き親友に手を合わせる理由
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月20日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン