机の一点を見つめ体中を耳にして聞く。3人目にわが受験番号を読み上げられたときは、うれしいというより、体中の力が抜けちゃった。合格者は16人中6人で、私以外は10代と20代だもの。

 しかし、こんな形で当落をあからさまにする警察の“無骨さ”にはちょっと驚いたね。合格した私たちが、バイクの乗り方の講習を受けるための移動は、「一列に並んで」だし。違和感と緊張感で、家に帰ったら、ベッドに倒れ込んだわ。

 とはいっても、うれしいことには変わりなくて、あれから何度免許を取り出して眺めたか。それと、人は“運転免許”を持っている人と、持っていない人のふた通りとも思ったね。長年、チャリオバだった私に、“道路交通法”という法律はなく、道路標識だって薄ぼんやり。

 それがあっちにもこっちにも、道にだって書いてあるではないの。この約束ごとの上で、人と車は動いていたんだなと、大げさに言えば、世の中、違って見えるのよ。免許取得代、7750円(東京都の場合)は、私にとって激安だったかもね。

※女性セブン2018年3月15日号

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