相撲部屋では横綱から序ノ口まで、原則、全力士が共同生活をしなければならない。多くの部屋では親方の自宅を兼ね、親方を父親、おかみさんを母親とした大家族を形成している。
「部屋には力士だけでなく、行司や床山、呼出も同居。引退した力士をマネージャーや運転手として親方が個人的に雇っているケースも少なくない」(元力士)
居住環境も番付で違う。関取になると個室が与えられるが、幕下以下は大部屋での共同生活だ。昼間はそこで一緒にちゃんこを食べ、夜は布団を敷いて寝室となるので、幕下以下に部屋でプライベートな時間はない。
関取として給料を手にするようになれば結婚するケースもあるので、そこで初めて近所でのマンション住まいが許される。ちなみに結婚は原則、関取にならないと認められない(幕下は給料もなく、家も借りられないので事実上不可能)。
十両から幕下に降格した場合は大部屋生活に逆戻り。
「付け人もいなくなり、個室から大部屋へ自分で荷物を運ぶ時は惨めだ。妻帯者が幕下に落ちたら嫁と子供を残して部屋に戻る。それだけは避けたいと必死で稽古に励む」(元力士)
※週刊ポスト2018年3月23・30日号