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大前研一氏が考える東京一極集中解消に必要なこと

 なぜ、地方の人口減少に歯止めがかからないのか? 東京をはじめとする大都市圏には仕事(若者が望む就職先)があり、地方にはないからだ。それに、今や東京圏でも都心に近いエリアに続々とマンションが建設されたため、かつてのように郊外のニュータウンから長時間通勤をしなくてもよくなってきている。

 東京一極集中が進んでいる日本と対照的なのはアメリカだ。もともとSOHO(スモールオフィス・ホームオフィス)やセカンドハウスを所有するライフスタイルがあったが、このところ西海岸で新たな地方への人口大移動の波が起きている。

 その理由は、生活コストの高騰である。人手不足が深刻化しているシリコンバレーやサンフランシスコ・ベイエリアではエンジニアの初任給が1000万円超に達しているが、住宅などの生活コストも高く、一戸建ては2億~3億円台がざらである。だから、高年収でもさほど豊かな生活はできなくなっている。このため、西海岸からあふれた人々が数百km内陸に入ったオレゴン州、アイダホ州、ユタ州、アリゾナ州などの自然が豊かで生活コストが安い地方都市に数万人規模で移住しているのだ。

 日本がアメリカから学ぶべきは、まずシリコンバレーなど急成長を続けるメガシティ、メガリージョンの地域経済があり、そこに人、モノ、カネ、企業、情報が集まるということ。そして、そこからあふれ出た人々が周辺に移住して、さらに地方の繁栄を拡大しているということだ。逆に言えば、あふれ出るカネと人口がなければ、地方に繁栄を移植することはできないのだ。

 アメリカの場合、州に立法・行政・司法の三権と州税などの財源があり、税制、教育制度、交通法規、銀行免許、ギャンブルやマリファナの可否などについて独自に決めることができる。その自由度を正しく使えば、繁栄の吸引力につながるのだ。中央からの交付金で地方が繁栄するのではなく、ライフスタイルで魅力を発揮できれば、結果として地方に移住する人が増えていくのである。

※週刊ポスト2018年3月23・30日号

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