「最近は豆乳や生姜などをブレンドしたフレーバー商品が増えてきましたし、砂糖不使用や国産米使用といった品質をアピールする商品もあります。また名高い酒造メーカーが出している瓶入りの高級甘酒を手に取る女性客も多く、今後はますます販売競争が激しくなると思います」(大手食品スーパー店員)
もっとも、この甘酒ブームはいつまで続くのか──。前出・富士経済は今後も拡大基調で推移すると見ており、2022年には323億円まで販売額が伸びると予測する。しかし、課題もある。
〈主要購買層である50~60代以上の女性から根強い需要を獲得している一方で、30~40代女性や男性、若年層の需要開発は十分に行われていない。
特に甘酒をあまり飲んだことのない若年層向けにはフレーバーや風味を抑えた商品設計で飲みやすさを訴求するほか、SNSを用いたプロモーションの実施で購買意欲を喚起できるかが課題である〉(富士経済)
都内のデパートや専門店では、凍らせてシャーベットにしてもおいしい“フルーツ甘酒”が売れているという。甘酒自体は江戸時代から庶民に親しまれてきた飲み物であるが、メジャーな健康飲料として現代に再び根付くかどうかは、飲み方提案も含めて若者など新規顧客の開拓が不可欠といえそうだ。