AM9:05 千葉入り。走行距離は14.8km
トラック大通りの国道6号と別れを告げて、牛久学園大通りへ。松ぼっくりの落ちる真っ直ぐな広い歩道は、自転車なんて1台も見ない。車がときどきシャーッと通り過ぎるだけ。
孤独ってこんな? 自由って、爽快ってこんな? いろんな思いが次々に浮かんでは消え、消えては浮かぶ。つくばエクスプレスのつくば駅まで来た。電車なら、秋葉原から45分。私は7時間半かかっている。お尻がすれて痛くなってきた。
それでも、時間が経つにつれて、私を前に前にと進ませてくれる『ビビ・KD』がかわいくて仕方なくなってきた。
駅の近くの喫茶店でコーヒーとショートケーキにがっついて糖分補給したら、すぐに旅立つことに。次の目的地は関東鉄道つくば線の跡地にできた自転車専用の『つくばりんりんロード』だ。
「生前、忌野清志郎が好きだった道だよ」
という話を知人がしていたせいか、夕暮れに差し掛かって寂しさが増してきたせいか、すごく情緒ある道に見える。ここでも人っ子ひとり走っていない。見慣れた筑波山が見えたときはすっかり日が陰り始めていた。薄暮れの中を走った最後の1時間はよく覚えていない。
で、18時20分、実家の玄関を開けて、「お、どうしたんだ?」と言う母親(89才)に事情を説明したら、たったひとこと。
「バカ!」
60過ぎた女がすることじゃないと言いたいらしい。バッテリーは1本目が12%、2本目は40%を残していた。
「何! バッテリー2本で93km走っておつりがきたって?」
5年前の電動アシスト自転車に乗っている男友だちがそう言って驚いた。以前の車種と比べると、バッテリーの性能が格段に上がっているらしい。小型化しているのに、容量が増えている。
私の話を聞いた彼はポツリと「買い替えようかな」だって。そんなこんなで、相変わらず人生のパートナーはいないけど、電動アシスト自転車と一緒にときめきの旅を続けるのも悪くないよ。さて、次はどこに行こう。
【ビビ・KD】…サイズ(全長×全幅)1875mm×580mm 車輪26型 重さ30kg バッテリー容量・充電時間 16Ah・約5時間 価格13万7000円(税抜き)
※女性セブン2018年3月29日・4月5日号